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風の国
ーー高句麗3代王ムヒュルの物語
ドラマ「チュモン(朱蒙)」を見ながら、
広開土王の知識と合わせ、高句麗の歴史に興味持ち、
このドラマ「風の国」を知ることになった。
ドラマだから史実と異なるのは勿論だが、ドラマとして楽しみながら、
王の系図などの基礎的事実を知ることができるのもおもしろい。
高句麗王の系図
チュモンは<東明聖王>、2代ユリ王は<瑠璃明王>、
3代ムヒュルが大武神王となる。
ムヒュルには神王という、<神>の名称が付けられている。何故だろうか?
ちなみに、広開土王は19代王。
上、中央・・・ムヒュル(ソン・イルグク)とヨン(チェ・ジョンウォン)
左・・・トジン(パク・コニョン) 右・・・ユリ王(チョン・ジニョン)
ヒーローのムヒュルとは<無恤>と書く。
意味は<心臓のない、又は、血が通ってない>という。
何とも不吉な名前を付けられたものだ。
<物語>
ユリ王の第4子として産まれたムヒュルは、
大神官から
<親と兄弟、そして自分の子供をも殺し、高句麗を滅ぼす>
と神託がくだされ、
死を免れない運命だったが、
ユリ王は殺さず密かにヘミョン太子に託す。
ヘミョン太子はムヒュルを
<チュモンの神剣>を守る洞窟(キリム洞窟)の壁画長ヘアプに託す。
ヘアプはヘミョンに想いを寄せていて、
ムヒュルを壁画師として注意深く育てる。
こうして、ムヒュルは自分が王子であることを知らず、
壁画師として成長する。
しかし、ムヒュルは外の世界に憧れてキリム洞窟から脱出しようとする。
ある時、扶余の<黒影(秘密暗殺団)>が
チュモンの神剣を奪おうと洞窟を襲撃する。
それを防ぎ(洞窟内には神剣を守る仕掛けがある)、
神剣を手にしたのはムヒュルだった。
ムヒュルの力を認めたヘアプは、ヘミョン太子のもとへ彼を送り出す。
かくして、ドラマ「風の国」は、
ムヒュルが様々な命がけの困難を乗り越えながら、
神託による自己の運命を克服して、
高句麗王となり扶余のテソ王と対決する道筋を描く。
その間、生涯の恋人ヨンや好敵手トジンと出会う。
しかし、このドラマは<めでたしめでたし>で終わらない。
そこがなんともいえない。
マロは、キリム洞窟以来の親友。
彼はテソ王により焼き殺されてしまう。
ヨナは、ヨジン王子の自決、次いでマロの火刑と、
愛しい人を失ってしまう。
ヨンも最後に亡くなる。
<お嬢様>といつもムヒュルに呼ばれている。
死の直前、ムヒュルに<ヨンと呼んで>と。
<相関図>
上の相関図から、主なキャスト(ムヒュルについては既に描いた)。
<ムヒュルの親族関連>
ユリ王 ;チョン・ジニョン
高句麗第2代の王。ドラマ「チュモン」では、若き王子として。
このドラマでは、扶余のテソ王の脅威、
国内ではビリュなどの諸加(チェガ)勢力により、
彼の権力は不安定。
不吉な神託からムヒュルを守れなかった。
やがて、ムヒュルを王子として認める。
ヘミョン太子 :イ・ジョンウォン
ムヒュルをヘアプに託したが、
やがて彼を配下において彼の成長を見守る。
扶余に対抗して高句麗を強国にしようと努力するが、
テソ王の暗殺に失敗し、テソ王の威嚇のもと、自決する。
セリュ姫 :イム・ジョンウン
ムヒュルの姉。
かつて生まれたばかりのムヒュルとの別れ際に、
高句麗王族の身分の証となる<三足烏の首飾り>を持たせた。
キサン族族長に嫁ぐが、後家になり王宮に戻る。
ムヒュルが弟と分かり、彼のために尽力する。
やがて、クェユと恋仲になり、再婚する。
ヨジン王子 :キム・ヘソン
ユリ王の後妻、ミュ夫人の息子。ミュ夫人は彼を太子にする野心を持つが、
ヨジンは剣術よりも<装身具作り>に興味があり、無欲さと優しさを備えている。
侍女のヨナと恋仲、身分を捨て彼女と暮らすことも考えるが、
兄と分かったムヒュルの感化を受け王族の自覚を持つ。
母の野心は、ペグクと共謀により強くなり、ヨジンは母を諫めるため自決する。
ヨジンとヨナ
ヨナ :イ・シヨン
ユジン王子の侍女。
ユジンと相思相愛だったが、ユジンの自決という悲しい出来事。
その後、ムヒュルの護衛隊長マロと知り合い、彼の想いを受け入れる。
マロのためもあって、ムヒュルに役立ちたいと、
ヨンと息子のホドンを連れ出す。
扶余との戦いのなか、必ず生きて帰ると約束したマロの死。
再び悲しい出来事、何とも不幸な運命なのだろう。
イジ :キム・ジョンファ
ムヒュルの正室。
沸流(ビリュ)勢力との妥協によりムヒュルの太子妃となる。
ヨンからムヒュルの心を引き離そうとするが、できずヨンを憎む。
*ドラマ「広開土太王」では、ソルチ役のキム・ジョンファ。
広開土王(タムドク)に尽くす。靺鞨族の女戦士の野性味を合わせ持つ。
<ムヒュルの信頼する部下>
ヘアプ :オ・ユナ
かつてはヘミョン太子と王宮で思い合う仲。
王宮を去った後、キリム洞窟の壁画長。
ヘミョンからムヒュルを預かり、ヘミョンのためにも彼を注意深く見守る。
ヘミョン太子の自決後、ユリ王に説得されて高句麗の情報総監となる。
ユリ王とムヒュルが父子である事を知る人間として、
公にできない事情もあって二人に心を痛める。
*ドラマ「サイムダン」では、
イ・ヨンエ演じるサイムダンの恋敵のフィウムダンを演じる。
サイムダンでは、いかにも憎々しげな演技が見もの。
マロ :チャン・テソン
ムヒュルとキリム洞窟以来、兄弟のような親友。
ムヒュル共に扶余の捕虜となるが、
高句麗の脱走兵と偽り<黒影>の訓練所で鍛錬を積む。
黒影の鍛錬を通じて逞しくなり、
やがて王になったムヒュルの護衛隊長となり、将軍としても活躍する。
扶余との決戦前にヨナから、
<生きて帰ってもう一度渡して欲しい>と告げられて、
彼女に渡していた櫛を返される。
しかし、ムヒュルの作戦失敗から、扶余の捕虜になり、
テソ王が忠誠を誓えば生かすと言われるが断る。
マロの火刑の様子を遠望したムヒュルの嘆き、
マロの死を知ったヨナの悲しみ。
クェユ :パク・サンウク
ヘミョン太子に仕える高句麗の<参軍(チャムグン)>。
ヘミョンに頼まれ、ムヒュルを武芸で鍛えた。
やがて、ヘアプと共にムヒュルを支える重要な役を担う。
ムヒュルの姉セリュに魅かれるが、
相手が高句麗の王女であるため気持ちを隠していた。
後に、セリュと恋仲になり、結婚してキサン族族長となる。
<扶余関係>
テソ王 :ハン・ジニ
若き時代、チュモンに受けた屈辱を晴らしたいと考え、
高句麗征服を狙う扶余の王。
時に残酷な侵略者、時に器の大きい王と、二つの顔を持つカリスマの持ち主。
黒影(秘密暗殺団)を使い、高句麗など周辺国を威嚇する。
後継者がいない事が唯一の瑕痕である。
ヨンやトジンの父の死を命じながらも、
他方では遺児であるヨンやトジンに心を預けることもある。
最期はムヒュルによって殺される。
当時としては、珍しく長命の王であった(高句麗3代の王と対決している)。
ヨン :チェ・ジョンウォン
テソ王の甥、タクロクの娘。扶余の王族。
王族として安穏に生活するより、
人々の心身の傷を治療する医者として過ごすことを望む。
ある時、捕虜となって高句麗のスパイとして拷問をうけたムヒュルと出会い、
彼を献身的に看病する。
気づいたムヒュルはヨンに看病されたことを知り、
この縁からヨンを生涯の恋人と想うようになる。
ヨンは父親を無実の謀反罪に陥れられて亡くし、扶余から密かに脱出する。
途中、商人マファンに保護された後、
扶余脱出時に力を借りたムヒュルと高句麗で再会した。
やがて、ムヒュルの子、ホドンを宿したが、扶余に連れ戻される。
*史実でも敵国の王女ながら、
テムシン王(大武神王)=ムヒュルの側室となった女性で、
説話「好童(ホドン)王子と楽浪(ナンナン)姫」で
有名な悲劇の王子・ホドンの生母である、という。
(注)残念ながら、この説話のことは知らない。
息子のホドン
ムヒュルとヨン
トジン :パク・コニョン
扶余の秘密暗殺団の最強の<フギョン(黒影)>。
正体は扶余の王族でヨンと親族関係である。
ヨンとは昔からの知己で密かに気持ちを寄せ、
ヨンの父タクロクからも娘婿になって欲しいと言われていた。
常に仮面を身につけており、いつも冷静沈着でテソ王の信頼を受ける。
黒影となったムヒュルと出会い、友人となる。
やがて、ヨンとムヒュルの相愛を知った事で彼への敵対心が燃え上がり、
国だけでなく、恋を巡っても永遠の好敵手となっていく。
ヨンの子ホドンを実子として育てようとするが、
ホドンは高句麗に連れ出される。
トジンはテソ王の太子となり、高句麗との最終決戦に臨む。
<余談>
①韓流ドラマでは、
同じドラマの中に似たような名前が出てくる。どうも分かりにくい。
このドラマでも、ヨンとヨナ、トジンとヨジン、
似たような名をどうして付けるんだろうか?
*ただ、漢字表記なら違いが出るが読みにくい。ハングルでは尚更だ。
②最後の2話を今日見た。
ヨジン王子、マロと愛しい人を失ったヨナの悲しみの表情が印象深く、
次は幸せをつかんでほしいと、ドラマながらに思った。
ヨンの亡くなるシーンは泣けそう。
やっぱりチェ・ジョンウォンに<いいね>。
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