天声人語2
 天声人語1は、気に入った記事を備忘録代わりにスクラップするため。
 この2は、問題ありと思う記事を載せようと。



 <四字熟語で振り返る>12・26
 春先、首相の会見で慌ただしく始まった臨時休校。
 「児宅待機(じたくたいき)」で子どもも、仕事を休めぬ親もとまどった。
 コロナ、コロナで明け暮れた1年を、住友生命が募った「創作四字熟語」で振り返る。

 31回目の今年は過去最多の2万2千編が寄せられた。
 照る日も降る日もマスクなしでは
 外出しづらい「全面口覆(ぜんめんこうふく)」が日常に。
 没個性の口元に飽き、
 趣向を凝らした「創意口布(そういくふ)」を楽しむ人も増えた。

 巣ごもり生活を少しでも快適にしようと、
 だれもが「巣居工夫(そういくふう)」に努めた。
 出かけた先でも平熱を確かめ、「検温無事(けんおんぶじ)」でホッとする毎日。
 かたや、楽しみにしていた祭りや催しが
 津々浦々で中止される「多止祭催(たしさいさい)」には寂しさも覚える。

 飲食業界は営業自粛の波でいまも四苦八苦が続く。
 隣の席とは2メートルの間隔を空ける
 「一席二長(いっせきにちょう)」が奨励された。
 代わりに広まったのが「画伝飲酔(がでんいんすい)」こと
 オンライン飲み会。
 人と人との接し方が一変した年だった

 コロナ以外のできごとも多々。
 政界では前首相が
 在職歴代最長の「記録更晋(きろくこうしん)」のすぐ後に退陣し、
 後任は臥薪嘗胆(がしんしょうたん)ならぬ「菅新相誕(すがしんしょうたん)」。
 漫画から映画までどこへ行っても「鬼滅の刃(やいば)」を見ない日はなく、
 まさに「頻出鬼滅(ひんしゅつきめつ)」だった。

 不安と疲労に耐えて治療の最前線に立ち続ける
 医療従事者のみなさんの「医心献身(いしんけんしん)」には、
 どれだけ感謝しても足りない。

 製薬大手がワクチン開発にしのぎを削る「薬家争鳴(やっかそうめい)」のさなか、
 日本での接種はいつ始まるのか。
 どうか来年は心穏やかに過ごせますように。



 <黒人リーグという汚点>12・19
 ジャッキー・ロビンソンが黒人で初めて大リーグにデビューしたのが1947年だ。
 ではそれまで黒人選手はどうしていたかというと、
 黒人だけのリーグしか出場を許されなかった。
 ニグロリーグという差別的な名がついていた。

 大リーグとの非公式試合もあり、相当の実力だったようだ。
 ノンフィクション作家佐山和夫さんが、
 黒人リーグの名投手サチェル・ペイジの言葉を紹介している。
 「私にとって、黒人チームが白人チームに勝つことは、
  ニュースでも何でもない。
  黒人リーグの方が上だからだ」

 「黒いベーブ・ルース」と呼ばれた打者ジョシュ・ギブソンは、
 ルースより多くの本塁打を放ったという。
 (『史上最高の投手はだれか』)
 黒人選手を隅に追いやってきた過去は、
 米球界の汚点だろう。

 それを少しでも挽回(ばんかい)しようという動きである。
 1920年から48年までの黒人リーグの選手と
 成績を大リーグの歴史に加えるという方針が発表された。
 約3400人が「大リーガー」として扱われる。

 大リーグ機構の発表には反省の言葉が並ぶ。
 長年見過ごしてきた。認定が遅れた……。
 「野球を愛する者なら知っている。
  黒人リーグは不当な扱いをされながらも、
  優秀な選手を輩出してきた」
 とはコミッショナーの談話だ。

 民主主義を掲げながらも、
 少し皮をめくると差別が顔をのぞかせるのが米国社会である。
 大リーグの決断は遅すぎたに違いない。
 それでも差別を憎む気持ちは地下水脈となり、
 あちこちでしみ出している。