トップ

  ギリシア神話注解
    ページ内リンク
      デルフォイの神託  古代オリンピック
      語源  12星座  ニンフ


 冥界

 ・冥界の入り口はペロポネソス半島の南端にある<無数の洞窟のどれか>と信じられた。
 ・死者の魂は、洞窟から泥の川と呼ばれるアケロン川のほとりにたどり着く。
 ・カロンという渡し守の老人の船で向こう岸に渡らなければならない。
  *渡し賃が必要で、葬儀の際、家族は死者の口に少額の銀貨をくわえさせておく。
   葬儀してもらえなかった死者は金を持たず、余分の銀貨を持った死者が現れるまで
   何世紀も荒れ果てた岸辺で待たなければならなかったという。
   だから、川のほとりには無数の魂が彷徨っているという。

 ・冥界を取り巻くスチュクス川
  地上から流れ込む川(アケロン川はその一つ)は、
  合流してスチュクス川となり冥界を9周り取り巻いている。
 ・神々にとって最も厳粛な誓いは、「スチュクス川にかけて」誓うこと。
  この誓いを破れば、百年の間、神としての特権を剥奪される。

 ・川を渡った死者の魂は冥界の門をくぐる。
 ・門を守るケルベロス
  3つ(50ともいう)の頭と龍の尻尾を持ち、口から毒液を垂らす番犬。
  *ヘラクレステセウスなど、ごく一部の例外を除き、
   一度門をくぐった者は決して門の外に出られない。

 ・ハデスの宮殿
  玉座には冥界の神ハデスとその妻ペルセポネ
  足下に3人の裁判官。
  *彼らはゼウスの血を引く人間で、一度も過ちを起こしたことがないとして、
   死後、この地位についた。
 ・ハデスと裁判官に裁定を下された死者の魂は、宮殿を出て、道は左右に分かれる。
 ・悪事を犯した者は左の道へ、タルタロスに向かう。  
  *ダイヤモンドの扉で閉ざされたタルタロス。
   死者はここで犯した罪に応じて罰・拷問を受ける。
   ふつう、一定期間滞在し、罪が清められれば<エルシオンの野>に入ることができる。
   極悪人は、永遠に閉じこめられて未来永劫終わることなき責め苦を受ける。
   例)息子の肉を神に食わせようとしたタンタロス
     告げ口や欺きによって神々を手玉に取ったシシュポス
     ゼウスの妻ヘラを犯そうとしたイクシオン、など。

 ・善人達の魂は、右の道から<エルシオンの野>に入る。
  *エルシオンの野は、雪も雨も嵐もなく、1年中そよ風が吹き渡る緑と花に満ちた楽園。
   数世紀の間、幸福で穏やかな日々を過ごすことができる。
 ・この楽園に永遠に住む魂は、完全に純粋な善性を認められた者。
 ・エルシオンの野を出た魂は、レテと呼ばれる<忘却の川>のほとりにたどり着く。
  そして、その水を飲むと前世のことをすべて忘れてしまう。
  こうして魂は輪廻転生する。



 デルフォイの神託
 
 ・デルフォイの遺跡は、ギリシア中部パルナッソス南麓アポロンの聖地。
  中央にアポロンの神殿、
  南西部にオンファロス<大地のへそ>(世界の中心をあらわす)と呼ばれる石があった。
  *アポロン神は太陽や光の神、また、医術、牧畜、弓矢、音楽、詩、数学の神。
   さらに、法や道徳、哲学の保護者で、予言の神。

 ・生後4日目で成人したアポロンは、自分の神殿を建設し、
  母の女神レトを迫害したピュロスを退治するため旅立つ。
  *ピュロスとは、大地から生まれた巨大な錦蛇
 ・パルナッソス山の谷の洞窟に巣くい、人間や獣たちを餌食にしていた。
  ピュロスを発見したアポロンは、鍛冶の神ヘパイストスが鍛えた金の矢でピュロスを射止め、
  その死体をオンファロスの下に埋める。

 ・ピュロスが秩序と正義の女神テミスから奪っていた神託所を手に入れたアポロンに、
  テミスは喜んで、<神託の技術>を彼に授ける。

 ・アポロンは、オンファロスの横に祭壇を築き、
  イルカ(デルピス)の姿となってクレタ人の船乗りの前に現れて、
  彼らをさらって神官とした。
   *デルフォイ(デルポイ)名の由来

 ・神殿完成後、アポロンの日(毎月7日)に、アポロンの神託が行われた。
  *神託は、三脚床几に座るピュティア(巫女)にアポロンが憑依し、
   恍惚状態になったピュティアが意味不明の言葉を発する。
   これを神官たちが判断し、翻訳して人々に伝える。
 ・ピュティアが神懸かりの状態になるのは、
  ダフネの故事以来、アポロンの象徴となった月桂樹の葉を噛むからという説、
  ピュロスの洞窟から湧き出る毒を含んだ蒸気を吸うからという説がある。

 ・神殿には、「汝自身を知れ」(度を過ごすなかれ)という格言が掲示されていた。
   *「汝自身を知れ」
    ①神々と人間たちの違い
     神々は<不死なるもの>であって全知であるが、
     人間は<死すべきもの>であり無知である。
     人間の傲慢(ヒュブリス)が神々の領域を侵して神々をあなどるとき、
     神々の怒りと罰が下される。
     人間は<人間としての分>をわきまえよ。 
    ②ソクラテスが座右の銘とする。 
     <無知の自覚> 「善美なるもの」(カロカガティア)についての無知。


 ・歴史上の神託
  ペルシア戦争(前500~499年)の際、神託を受けてアテネ市民はアクロポリスを放棄し、
  ペルシア軍が市内を蹂躙するにまかせて、海戦を挑み勝利した。これがサラミスの海戦であった。

 ・アポロンのピュロス退治を記念して4年に1度、ピュティア大祭が行われた。
  竪琴を中心とした音楽大会、競技会など。
  *エリス地方のゼウスに捧げるオリンピア大祭に次ぐイベント。


 古代オリンピック

 オリュンピア祭 
 ゼウスに捧げられた宗教的儀式を行う祭典。紀元前776年から4年ごとに開催され、
 紀元393年のローマ帝国テオドシウス帝による異教禁止令によって廃止されるまで、
 293回実施されている。

 ・この開催期間には、ポリス間の戦争は停止され、罪人の刑の執行も延期された。
  開催時期は、8月から9月にかけての満月の頃。
 ・祭典と祭典との間の四年間を「オリンピアード」といい、これを基準として、年代を数えた。
  *五輪のマークは古代からあり、オリュンピアの祭壇には現在もその浮き彫りが残っている。
  *他の祭典
   デルフォイのピュティア祭、ゼウスのためのネメア祭、
   ポセイドンに捧げられたコリントスのイストミア祭など

 ・競技会は、ゼウス神殿に犠牲獣を捧げることからはじまり、
  美しい花で飾られた祭壇には生け贄の血が滝のように流れ、
  聖なる楽の音をバックに、祈祷が行われた。

 ・競技に先立って、選手達は審判員の前に集まり、正々堂々と戦うことを誓った。
  この誓いは、選手の親類縁者によっても保証された。
 ・競技会には男子しか参加できず、
   戦車競争や競馬の御者以外、選手はすべて全裸であった。
 ・勝利者には、ヘラクレスが植えたという
   聖なるオリーブの枝でつくられた冠が授けられた。

 ・主な競技は、スタディオン(競技場)で行われた。
  ここは4万人の観客を収容できる巨大な競技場で、
  長さ192.27m(ヘラクレスの足のサイズの600倍)の走路が20もあった。
 ・ここでは5種競技やボクシング、パンクラティオン(格闘)が行われた。

  *5種競技 :レスリング、短距離走、走り幅跳び、円盤投げ、槍投げ
   ・レスリングは、全身にオリーブ油を塗って、相手につかまれにくくした。
   ・ボクシングは、手に革ひもを巻き付けて行われたが、かなり危険。
     試合中、選手は必ず出血し、死者が出ることも少なくなかった。 
   ・走り幅跳びは、リズムをつけ跳躍を促すために、フルートの伴奏つきで行われた。    
   ・円盤投げの円盤は、もともと石、後に金属製となった。
  *戦車競争
   ・勝利者は御者ではなく、戦車や馬の所有者。
   ・戦車には2頭立てと4頭立て。
     2輪の戦車は前面や側面は費用かまわず装飾され、
     第一線の芸術家が腕を振るって、戦闘場面を描くことが多かった。
  *競馬
    競走馬は長期間にわたって訓練を施され、細心の注意を持って飼育された。

 ・競技会には男子しか参加できず、戦車競争や競馬の御者以外、選手はすべて全裸であった。
  勝利者には、ヘラクレスが植えたという聖なるオリーブの枝でつくられた冠が授けられた。



 語源 :ギリシア神話から

 ・アキレス腱
  不死身の英雄アキレウス(ローマ名、アキレス)の唯一の弱点が足首にあった。
  母の女神ティチュスから不死身とされながら、パリスの毒矢により死す。

 ・タイフーン
  大地の女神ガイアの子で、巨大な怪物テュポン
  テュポンは鱗で覆われた百の首を持ち、頭は龍、目から火を噴き、翼をもつ。
  オリンポスの神々もデュポンに出会えば逃げ出す。

 ・オーシャン(大海)
  神々の祖ウラノスガイアの子、ティタン族のオケアノスから由来。
  オケアノスは広大無辺の水の流れの象徴。

 ・モルヒネ
  夢の神モルペウスに由来。
  モルペウスの父は眠りの神ヒュプノス、祖父は夜の神ニュクス
  激痛を和らげるモルヒネの効き目が、
  夢の神モルペウスが優しく抱いてくれるようだという。

 ・サイレン
  半身鳥の魔女3姉妹セイレンが語源。
  海の中の岩に座り美しい声で歌う。
  その歌声に惹かれて船乗りたちが船を寄せると、岩に激突、船は難破し船乗りは溺死。

 ・アマゾン
  北方のスキュティアに女戦士だけの国があり、彼女たちをアマゾンと呼ぶ。
  種族保存のためだけ他国の男と交わって、男子が生まれると殺した。
  アマゾンとは<乳房がない>という意味で、
  武器の使用の妨げにならないよう<右の乳房を切り取っていた>という。

 ・ミュージック
  ゼウスと記憶の女神ムネモシュネの娘、9人のムーサたち。
  学問や芸術のさまざまな分野を司る女神たちで、ローマ名がミューズ

 ・クロス(布)
  ゼウスと秩序と正義の女神テミスの子、3人姉妹が運命の女神モイラ
  その一人、女神クロトから由来。
  クロトは「紡ぐ人」の意味。衣服のクローズもクロトから。



 12星座


 牡羊座 :黄金の毛皮を持つ牡羊。  3/21~4/19 白羊宮
      継母に迫害された二人の子どもがギリシアからコルキスに逃げる際に、
      二人を乗せて空を飛んだ。到着後、ゼウスに捧げられて星座となった。
      この羊の毛皮が、イアソンアルゴーナウタイの遠征を招く結果となる。
 


 牡牛座 :ゼウスが牡牛に変身した姿。  4/20~5/20 金牛宮
      フェニキアの王女エウロペを背中に乗せ、クレタ島まで連れ去り、情を通じた。 
      生まれた子どものうち、ミノスがクレタ王家の始祖となった。
 


 双子座 :美女ヘレネの兄弟。双子のカストルポリュデウケス。 5/21~6/21 双児宮
      母のレダが時間をおかずに、ゼウスおよび夫と交わったため、
      兄カストルは人間を父とし、弟ポリュデウケスはゼウスを父として生まれた。
      カストルの死後、ゼウスによって二人とも星座とされる。
      *二人は、ともに、アルゴーナウタイ。
 



 蟹座 :巨大な蟹カルノキス。  6/22~7/22 巨蟹宮
     ヘラクレスがレルネのヒュドラと戦っている最中に出てきて、
     英雄のかかとをはさみで挟んだ。
     ヘラクレスに踏みつぶされ、哀れんだヘラが星座にした。
 


 獅子座 :ヘラクレスに退治されたネメアのライオン。 7/23~8/22 獅子宮
      ゼウスが星座にした。
 


 乙女座 :ゼウスと女神テミスの娘、正義の女神アストライア。 8/23~9/22 処女宮
      アストライアとは「星乙女」の意味。
      彼女は、人間とともに地上に住んでいたが、そのあまりの堕落ぶりに愛想を尽かして、
      天に昇って星座になってしまったという。
 


 天秤座 :正義の女神アストライアが手に持つ天秤。  9/23~10/23 天秤宮
      アストライアが人類の善悪を裁いたという。
      アストライアとともに星座となる。
 


 蠍座 :アポロンの巨大な蠍。  10/24~11/22 天蝎宮
     女神アルテミスが愛した巨人オリオンに、
     女神の双子の兄アポロンが嫉妬して送った。
     オリオンはこの蠍のはさみにかかとを切られ、海に逃げ込む。
     この功績で、星座とされた蠍は、やはり星座となったオリオンを狙って、
     今でも南の空ではさみを振り上げている。
     オリオンはこの蠍を怖れ、蠍が東の空に現れる頃、
     こそこそと西の空に沈んで、オリオンと蝎は天空に並ぶことはない。
 


 射手座 :半人半馬のケンタウロスの賢者ケイロン。  11/23~12/21 人馬宮
      ティタン族の神クロノスと水のニンフの間に生まれ、優れた学者で人格者で、
      イアソンアキレウスカストルポリュデウケスなど、多くの英雄たちを育てた。
      ヘラクレスの流れ矢にあたって死ぬ。
      後に神々によって得意だった狩りをしている姿で天にあげられた。
 


 山羊座 :山羊に似た牧神パン。  12/22~1/19 磨羯宮
      牧神パンが、他の神々とともにナイル川の岸辺で酒盛りをしていると、
      怪物デュポンに襲われ、逃げるつもりで変身した。
      魚に化けて飛び込むつもりが、慌てていたため<下半身しか変身(魚)>できず、
      <上半身は山羊>のままという滑稽な姿になった。
      ゼウスはそれを面白がって星座にした。
 


 水瓶座 :トロイアの王子ガニュメデス。  1/20~2/18 宝瓶宮
      ゼウスがガニュメデスの美しさに魅せられて
      大鷲に化けて地上から彼をさらってくる。
      それ以来、ガニュメデスはゼウスに寵愛され、
      酒宴では神々に神酒を給仕する係となった。
      この少年の存在が女神ヘラにばれそうになったので、
      ゼウスによって星座にされ、無事にヘラから逃げおおせた。
 


 魚座 :<アフロディテとエロス>ともいう。  2/19~3/21 双魚宮
     牧神パンが楽しんでいたナイル川の川辺の酒盛りに、
     アフロディテとその息子エロスが参加していたとき、巨大な怪物デュポンが現れ、
     二人は慌てて川に飛び込んだ。
     牧神パンと違って、二人は魚に変身して逃げおおせた。
 



 ニンフ

 アルテミスやアテナ、酒の神ディオニソスに従うことが多い。 
 一般に、自然界の活力や生殖力の擬人化、若い娘の姿をとった妖精、または精霊。
 普通、全裸または半裸で過ごし、
 森や平原、川、泉、洞窟などの美しい自然の中に出没して、歌い、踊り、姿を消す。

 神の一員といえ、不死ではなく、一説では寿命9620歳という。
 それでも、神々と同じく、アムブロシアという不老をもたらす食物を口にしているため、
 その寿命の間は年老いて醜くなることなく、いつまでも若く美しい姿を保つ。
 生まれつき予知能力持つことが多く、予言好き。
 ある程度、病気を治す力を持ち、人間達を助ける。
 そのため、ニンフに庇護されることを願い、信仰の対象として崇める人々も少なくない


 ニンフの種類
 ネレイデス
  ・<海の老人>と呼ばれる海の神ネレウスの美しい娘たち。低位の女神、50人。
   ネレウスは海の最高神ポセイドンのアザラシを守る仕事をする。
   娘たちは海底にあるネレウスの王宮に住む。  
  ・ネレイデスたちは日頃、イルカや龍の落とし子などの背に乗って、波間を泳ぎ回る。
   彼女たちは、さざ波や波頭が女神の姿になぞらえられたもの。
  ・英雄アキレウスの母となったテティス、ポセイドンの妻アムピトリテ、
   悲恋のヒロインとしてガラティアなど。

 ナイアデス
  ・水や川や泉のニンフたち。
   きわめて美しく魅惑的であるが、彼女たちは、ドイツの水の妖精ローレライと同じように、
   美しい若者を自分の住処である水の中に引き入れ、溺死させてしまう。
  ・英雄ヘラクレスの愛した美少年ヒュラスは、井戸の水のナイアデスに魅入られて命を落とした。
   アポロンの愛を拒み、月桂樹に変身したダフネなど。

 ヘスペリデス
  ・地平線のどこか、太陽が沈むところに住むニンフたち、
   アイグレ(輝き)、エリュテイア(赤)、ヘスペラレトゥサ(日没)の3姉妹。
   この地の神々の園で、龍のラドンとともに、ゼウスの妻ヘラの黄金の林檎を守っている。
 その他
  ・陸に住むニンフでは、森に住むアルセイデス、
   山に住むオレイアデス、谷に住むナパイアデスなど。
  ・トネリコに住むメリアデス、ナラの木に住むドリュアデス(ハマドリュアデス)。

 ニンフの例
 *エコー :美少年ナルキッソスに失恋して体をすり減らし、声のみ残って木霊となる。
 *シュリンクス :牧神パンに追いかけられ、芦笛に姿を変えた。
 *アカントス :しつこいアポロンの顔を引っ掻いて、葉アザミに変えられる。
 *ミンタ :冥界の神ハデスに愛され、嫉妬した妻ペルセポネに薄荷に変えられる。
 *ゼウスに乳を与えたアマルテイア、同じく養育係のアドラスティア。



 トップへ戻る