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   オリンポス12神解説


 オリンポス12神については、
 12柱目にはヘスティアーを入れるのが通常であるが、
 ディオニューソスを入れる場合がある。
 (この場合、6柱ずつではなく、男神7柱、女神5柱となる)
 これは、十二神に入れないことを嘆く甥ディオニューソスを哀れんで、
 ヘスティアーがその座を譲ったためとされる。
 また、ごくまれにポセイドーンやデーメーテールなどが
 外されることもある。

 ほかに十二神と同格の神として、
 ハーデース(プルートン)とその妃ペルセポネー(コレー)がいる。
 通常は十二神には含まれないが、ごくまれに含めることもある。
 十二神にハーデースが含まれないのは
 他の神と違って冥界の神であり、
 冥界は地下の存在と考えられていたためで、
 属性が異なるとの理由から十二神から外されている。


 神々の世代
 オリュンポスの秩序より見た場合、
 十二の神々は第一世代と第二世代に分けることができる。
 <第一世代>の神々。
 クロノスとレアのあいだに生まれた息子と娘に当たる、
 ゼウス、ポセイドーン、ハーデース、ヘーラー、
 デーメーテール、ヘスティアーの6神。
 <第二世代>の神々。
 ゼウスの息子と娘に当たる、
 アテーナー、アポローン、アルテミス、
 ヘーパイストス、アレース、アプロディーテー、
 ヘルメース、ディオニューソスの8神。
 これはオリュンポスの秩序での系譜に基づいている。

 アプロディーテーについては、
 ホメロスはゼウスとディオーネーのあいだの娘としているが、
 ヘシオドスはクロノスが切断したウーラノスの男根の周りの泡より
 生まれたとしている。
  *ヘシオドスの説では、
   アプロディーテーはゼウスよりも古くからある女神となる。
 ここから、
 ウーラノスの男根よりの女神を
 天上の「アプロディーテー・ウーラニアー」、
 ゼウスとディオーネーの娘の女神を
 民衆の「アプロディーテー・パンデーモス」として
 呼び分けることもある。


 神々の起源と特徴(①~④に分類できる)
 ①古代ギリシア人(ヘレネス)固有の神
 ②ギリシア先住民の神
 ③非ギリシア起源の神
 ④外来かつオリエント起源の神を指す

 ①ゼウス ゼウス
  ユーピテル(ジュピター)、神々の王、オリュンポスの主神。
 雷神、天空神。多数の神・半神・英雄の父祖。
 木星、ゼウス (小惑星) 固有

 ②ヘーラー ヘラ
  ユーノー(ジュノー)女神、ゼウスの妻、神々の女王。
 婚姻の神、女性の守護神。嫉妬深い。
 ユノ (小惑星)、ヘラ (小惑星)
  *ヘラは本来、古代ギリシア人の女神ではなく、
   先住民の大女神であった。
   ギリシアの地に侵攻し先住民を征服した
   古代ギリシア人が、先住民との宥和を目的に、
   彼らの主神ゼウスの妃とした。

 ②アテーナー アテネ 
   アテナ アテネ ミネルウァ(ミネルヴァ)女神
 知恵・工芸・戦略の神。戦争の知略を司る。都市の守護神。
 ミネルバ (小惑星)、パラス (小惑星) 
 母メーティス
  *アテナは元々、先住民の女神と考えられ、
   豊穣の大女神で都市守護神であった。
   アテーナーを「処女神」とし、ゼウスの娘とすることで、
   オリュンポスの秩序が生み出された。
  *アテネは、イオニア方言形で、女神の古い名アテナより派生した。
   アテナは、アテナイアに由来する。
   (ホメロスではアテナイエ、つまりアテナイの女)

 ③アポローン アポロン
   アポロー(アポロ)男神
 予言・芸術・音楽・医療の神。光明神ともされる。ポイボス。
 ヘーリオス(太陽)と混同された。
 太陽 アポロ群 アポロ (小惑星) 
 母レートー

 ④アプロディーテー アプロディタ
   アプロディテ アフロディテ アフロディーテ  
   ウェヌス(ヴィーナス)
  愛と美の神。エロースの母とされる。
  金星、アフロディテ (小惑星)
  母ディオーネ

 ③アレース アレス 
   マールス(マーズ)男神 
  軍神。戦争の災厄を司る。
  ギリシア神話では知に劣り、人間にも敗れる。
  *対応するローマ神話のマールスは
   主神ユーピテルと同じ程篤く信仰されていた。
  火星 外来?

 ③アルテミス アルテミス
   ディアーナ(ダイアナ)女神
  狩猟・森林・純潔の神。
  処女神だが、豊穣の神。
  月の女神セレーネー(ルーナ)と混同された。
  月、ディアナ (小惑星)、アルテミス (小惑星)
  母レートー(アポロンと兄妹)

 ①デーメーテール デメテル
   ケレース(セレス)女神
  農耕・大地の神。乙女座に関連。
  ケレス (準惑星)、デメテル (小惑星)

 ①ヘーパイストス ヘパイストス 
   ヘファイストス ウゥルカーヌス(バルカン)男神
  火山・炎・鍛冶の神。畸形。
  バルカン、ヘファイストス (小惑星)
 ②ヘルメース ヘルメス 
  メルクリウス(マーキュリー)男神
  伝令神。旅人たちの守護神。
  水星、ヘルメス (小惑星) 
  ゼウスとマイアの子

 ①ポセイドーン ポセイドン
   ネプトゥーヌス(ネプチューン)男神 
  海洋の王。海・泉・地震・馬・塩の神。
  海王星、ポセイドン (小惑星)

 ①ヘスティアー ヘスティア
   ウェスタ(ヴェスタ)女神
  かまどの神。家庭生活の守護神。名は「炉」を意味する。
  ベスタ (小惑星)、ヘスティア (小惑星)

 ③ディオニューソス ディオニュソス
   バックス(バッカス)男神
  豊穣・葡萄酒・酩酊の神。
  バッカス (小惑星)、ディオニスス (小惑星)
  ゼウスとセメレの子

 ①ハーデース プルートーン 
   ハデス ハーデス プルートー(プルート)男神
  冥界の王。地下(クトニオス)・農耕の神。
  冥王星 (準惑星)、オルクス (小惑星)

 ①②ペルセポネー ペルセポネ
   プロセルピナ(プロセルピナ)女神
  冥界の王妃。
  春・芽吹き・乙女・季節の神。コレーとも呼ばれる。
  プロセルピーナ (小惑星)、ペルセフォネ (小惑星)
  *「コレー」とは古代ギリシア語で、
   「娘・少女・乙女」の意味で、
   デーメーテールの娘であることよりこう呼ばれる。
  *コレーとデーメーテールは、母娘二柱の女神として、
   エレウシスの秘儀を初めとして、
   古代ギリシアの秘教において崇拝された二大女神であった。
  *ペルセポネーは、コレーの名で呼ばれるデーメーテールとの
   「母娘二柱女神」としては、
   古代ギリシア民族固有の女神であるが、
   「ペルセポネーという名」は先住民のものと考えられる。



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