エナジー展3
・・浮世絵版画
下図は、葛飾北斎作「吉原妓楼の図」
大判の錦絵を横に五枚もつなげて、超ワイドスクリーンをつくり、
吉原の妓楼を透視図法も駆使して俯瞰的に描く。
一階には妓楼の遊女たちや客があちこちに大勢いる。
客は二階で、もてなされるようだ。
右下隅に厨房があり、左二枚目に神棚、その下で座り込んでいるのが妓楼の主人。
このエナジー展では、版画について、錦絵誕生までの木版画の発展も見られた。
例えば、<漆絵>では、
二世鳥居清倍作: 「山下金作、市川団十郎、松本幸四郎」
墨の部分に膠を混ぜて光沢を出す。それで漆絵という。
また、手彩色により金属粉もほどこされている。
細判の小画面に山下金作、団十郎、幸四郎。
三人がひしめき合うように配置され絵看板のようである
次いで、<紅摺絵>では、
二世鳥居清信作: 「三世沢村小伝次の奴与勘平」
草色と紅色と墨の3板を重ね摺りした紅摺絵の役者絵。
見えを切る役者の着物は草と紅を配置し、
梅花は紅で、幹は草で、輪郭は墨で表現されている。
なお、錦絵までの版画の発展については別に掲載している。
浮世絵版画の発展へのリンク
錦絵の誕生
浮世絵版画は<多色刷の錦絵>の誕生により最盛期を迎えた。
木版画を始めた菱川師宣から50年経っているという。
錦絵の誕生には、何度も色板を重ねて摺っても破れない奉書紙や、
板ずれ防止のガイドライン「見当」を付けるなど、
当時の叡智が結集していた集結していた。
そして<錦絵の元祖>は鈴木春信であるという。
鈴木春信作: 「花王(さくら)」
勝川春好作: 「五世市川団十郎の暫」
役者の大首絵といえば、東洲斎写楽を思い浮かべるが、
この大首絵も迫力満点。
江戸荒事を代表する団十郎の大首絵で、
画面いっぱいに睨みを利かせた顔は凄い。
現代と同様、ブロマイドであった。
最後に、なんといっても、哥麿。
喜多川哥麿作: 「四美人やつし車引」
菅原伝授手習鑑「車引」のパロディーで、
梅王丸、松王丸、桜丸らを当時人気のあった美人の姿で描いた。
江戸の人々は、着物の紋で役柄を、似顔で美人の名を理解して楽しんだ。
着物の裾に梅・松・桜が描かれている。
中央の松王丸が梅王丸と桜丸を抑えている。