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  筑前琵琶
    ・・ナカムラユウコ演奏

 かつての同僚で美術家のオヌマ・ナオハルさんの紹介で、
 筑前琵琶の奏者ナカムラ・ユウコさんと友人になった。
 オヌマさんによれば、ナカムラさんの創作琵琶も良いと。
 アイルランド民話や江戸川乱歩ものなど。。。

 


 ユウコさんは、小田急線百合ヶ丘駅近くの「隠れ家和菜 たまり」で、
 <琵琶ライブ>を開いている。
 オヌマさんの案内で、私は初めての<琵琶の弾き語り>を聴きに行った。

 ①「音つむぎ」~第七夜~ 於、和菜たまり

 私は<琵琶>の演奏を生で聴くのは初めてだった。
 琵琶の音色は哀愁を漂わせるようで独特だった。

 また、ユウコさんの謡いのさまざまな声音も聴きながら、
 どうしたらあのように声を出せるのか不思議で、また、バチさばきの妙も見た。
 ユウコさんによる「羅生門」を聴き、
 <これが琵琶の弾き語りなんだ>と印象深かった。
  *「羅生門(羅城門)」は<渡辺綱の鬼退治>として<謡曲>などもあるという。
   また、こうした図像もある。
 渡辺綱の鬼退治


 また、ユウコさんはご自身の<創作琵琶>を弾いてくれた。

 和菜たまりにて 

 坂口安吾作「桜の森の満開の下
  *偶然。帰宅してテレビで放映された、若山富三郎岩下志麻主演の映画を見た。
 夏目漱石作「夢十夜」の「第一夜」(百年)

 両作品の原作を読んでみて、ユウコさんが巧みに小説の良さを
 琵琶で演奏していたと改めて思いました。

 こうして、琵琶による弾き語りを初めて聴いた私は新鮮な感銘を受け、
 筑前琵琶ライブ・<音つむぎの夕>を楽しんだ。

 筑前琵琶① :四弦の琵琶、五弦にもなりそう。

 筑前琵琶② :バチさばき



 ②「百物語」於・和菜たまり

 


 演題「百物語」 *以降はユウコさんの紹介文

 「とおりゃんせ」 :謎多い唄。
  *道の奥から聞こえる声。お祝いの晴れ着。異界との問答。
 「夕顔」(筑前琵琶古典) :源氏物語の嫉妬の余りに生霊となって現れた六条御息所
  *光源氏は夕顔との逢瀬で、とある館を訪れる。
   そこに現れたのはかつての恋人の生霊だった。
 「二人姉妹」(伝承バラッドより) :恋人をめぐって姉が妹を殺してしまう。
  *旅の男は姉娘に贈り物をした。でも彼が愛していたのは...。
   絶え間なく聞こえる波の音。
 「夢十夜」の第一夜(前回も演奏)と第三夜 :共に百年の話。
  *百年(一夜)百年待っていてください。きっと逢いにきますから
  *鷺(三夜)六つになる子供を背負っている。
        ―「もう少し行くと解る。ちょうどこんな晩だったな」

 今回は夏の夕に相応しい物語をユウコさんは選んだ?
 ユウコさんの琵琶のバチさばきと声音がおどろおどろしく響くなか
 まさに<夏の夕べ>を過ごした思い。

 私は今回、時々、目を閉じ耳を澄ませて琵琶演奏を聴いてみた。
 そうすると、<琵琶の音色と謡いの声音>だけが響き渡る幻想的な空間が生じて、
 これもとても良いと感じた。



 ③「糸遊び」琵琶と語りと●その十二
    於、カーサ・モーツアルト

 ユウコさんから彼女の師匠と弟子たちによる「糸遊びの会」を紹介されて見に行った。
 原宿の「カーサ・モーツアルト」(近所に「太田記念美術館」がある)は初めて。

 


 この会は、<創作琵琶弾き語りの会・・・好きな話を琵琶で語りたい>という。
 
 ユウコさんは自作の「火垂」を演奏した。
 以下に紹介文
 「私」に送られて来た差出人不明の箱は、行方知れずの叔父が持っていたものだった。
 金の蒔絵の夏草に螺鈿の火垂の舞う美しい手箱。叔父は何処へ行ったのだろう・・・

 ユウコさんによると、「火垂」は初めて物語から創った作品という。
 実に幻想的な雰囲気が醸し出されていて、素晴らしくとても良かった。
  叔父の美しい手箱、謎の女、手箱の中に入っていた手紙(「あなたなのですか」)、
  螺鈿の火垂の織りなす物語・・・。



 ④「音つむぎ」~第八夜~

 演目 *以降は紹介文
  
 「安達が原」(筑前琵琶古典)
  *旅の僧、祐慶は野中の一軒家に一夜の宿を乞う。そこには老婆が住んでいた・・・
 「桜の森の満開の下」(坂口安吾作)
  *自分の妻にしようと美しい女をさらってきた山賊は。なぜか女に抗うことができなかった。
   女はどこか桜の森の満開の下に似ていた。
 「火垂」(中村祐子作)
  *紹介文は前回に

 「安達が原」以外は二回目。
 ユウコさんの弾き語りはライブ演奏ならではの良さを実感する。
 こうして、普段聴かない琵琶演奏をナマで聴くことは、いつも新鮮で感銘を受ける。
 琵琶の古典曲、「安達が原」や「羅生門」も、古典曲としての良さがある。

 なお、安達原については別のページに掲載した。
 そこに、ユウコさんの弾き語りにも触れているので、ご覧ください。

 安達原へのリンク


 <余談>
 こんな大きな琵琶もあるんだ!弾き語りできるのかな?
 と、思っていたら、ユウコさんから
  「インドのタンブーラという楽器です。
   インド音楽の方とご一緒したときに触らせてもらいました。
   不思議な音色で気持ちよかったです(^^)」と。

 大きな琵琶  :訂正、タンブーラ



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