風流艶色真似ゑもん(其の一)
・・・鈴木春信
春画では<十二図の組物>で描かれるものが多い。
春信はこれを二十四図の組物にしている。
始めの一図は由来を表し、次の十図は真似ゑもんがあちこちで出会った<性愛の姿>巡り、
さらに、十三図以降は遊郭吉原が舞台となる。
下の画像が第一図、由来。
色道の奥義を極めようと浮世之介が笹森稲荷に参詣したところ、仙女と藤花女が現れた。
仙女は<鍵屋お仙>、藤花女は<揚枝屋本柳のお藤>らしい。
二人から浮世之介が仙薬(土団子と不老不死の妙薬)を授けられる。
彼が土団子を食べると、たちまち豆粒のように小さくなり、
浮世之介は真似ゑもんと名乗り、諸国巡りに旅立つ。
さて、始まり~。
*残念ながら、参考書がないので、私は図上の文も書き入れもほとんど読めない。
江戸かな文字を早く覚えたいと思うのだが。
次の第五図は、珍しい?ホモセックスの場面。<衆道の契>だった。
陰間茶屋で。
振袖姿の美しい娘と思ったら男娼(陰間)。男娼を上に乗せて後ろから抱く男。
振袖の水仙模様は美少年のシンボルで、蒲団の菊紋も男色の世界を表すという。
真似ゑもんの書入れに、最初の一行の下から二行の上「ふうらい山人」と読める。
風来山人とは春信と親交のあった平賀源内の号。源内の男好きは有名だった。
真似ゑもん(春信)は、この場面から源内のことを暗示しているようだ。
次の図は第十一図。
<イチャツキ島>だそうだ。
どうやら、何故か若い二人は心中しようとしてるようだ。脇差しと手燭台があり、手には数珠を持つ。
親が心配して二人を探している様子。
娘は若衆のマラを握り、この世で最後の情交に及びたいと積極的だが。
若衆は未練があるのか、捜す親の方へ振り向く。
真似ゑもんは脇差しを隠し二人を救う。その後、<店屋が浜(遊郭吉原)>へ向かう。
一図から十一図のうち、その他の図はサムネイル形式で
上左から、さまざま情景が浮かび上がる。
二図 手習所の二階で、師匠が女弟子に挑みかかる。
女弟子「あれ~おししやうさん かんにんして下さりませ」と拒絶している。
三図 町家の一室。お灸をすえる女に後ろから入れているのは亭主か。
四図 亭主の浮気現場に女房が踏み込む。怒り心頭の女房殿は妊娠中らしい。
六図 旅の途中、田植え中の農家夫婦と娘。
異様な面の男が稲荷神社の末社の神だと自分を偽る。
娘が犯されてるのに、農婦は怖がり、農夫はそれを信じ込む。
七図 夏の夜の農家。蚊帳の中で息子夫婦が情交に励む。
その音を聞いて爺さんがその気になり婆さんの口を吸う。
真似ゑもんは爺さんの大きな<ふぐり>をかぼちゃだなぁと。
八図 温泉の湯殿で<つがう>男女。三味線を弾く隣の座頭がいる。
男の地口(洒落)「すか~でん~ 此方ハすこ~でん~じや」
九図 渡し場で女客と馬子が。女の方が積極的らしい。舟が着くまで間があると。
十図 農家の蚕部屋で。女「これ~かいこ様のまへでけがれますぞへ」
蚕部屋で音がすると、親父がのぞきに来た。
十二図から二十四図は「真似ゑもん(其の二)」へ
其の二へのリンク