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  「大聖堂注釈
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    聖堂構造や装飾 祝祭


 サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂
 (Catedral de Santiago de Compostela

 スペイン・ガリシア州ア・コルーニャ県
 サンティアゴ・デ・コンポステーラにある。
 聖ヤコブはガリラヤ湖の漁師で、
 弟のヨハネと共にイエス・キリストに従った。
 ヒスパニア(イベリア半島)において布教活動を行い、
 エルサレムに帰還後、
 ヘロデ・アグリッパ1世によって断首され、
 十二使徒のうち「最初の殉教者」となった。

 その遺体を弟子2人が石の船に乗せ海をさまよった末に
 この付近に辿り着き、
 埋葬したのが紀元1世紀半のことであった。
 これが聖地の起源といわれている。

 この墓が再発見されたのは、
 伝説では、9世紀に星に導かれた羊飼いが
 ここで聖ヤコブの墓を発見したという。
 または、814年に、
 当時の司教であったテオドミーロが
 聖ヤコブの墓を発見したともいう。
 いずれにしても、遺骨を祭った聖堂が建てられ、
 そこに教会が作られ、再建を重ね、
 現在の姿に至った。

 これが
 サンティアゴ・デ・コンポステーラの町の起源とされ、
 町の名はラテン語の「Campus stellae」(星の野)、
 あるいは「Compositum」(墓場)にちなんで
 名付けられたという。
 これにもまた、違う説があり、
 ガリシア語の地名研究によると、
 Compostelaの語源は、
 ラテン語のCOMPOSITA
 示小辞ELLAが付いたものであり、
 意味は「良い場所」で、
 「聖ヤコブにとって良い場所、
 ふさわしい場所」であるとも。

 この地に聖ヤコブ崇敬が定着したのは
 西ゴート王国末期の7世紀末に遡り、
 以来ローマ、エルサレムと並んで
 カトリック教会で最も人気のある巡礼地であり
 世界中から巡礼者が絶えない。
 巡礼の街道では巡礼者は、
 巡礼の証明に帆立貝の殻を荷物にぶら下げる。
 途中、教会などが宿泊を提供してくれる。
 最後のコースは、地面に古切れなどを敷きながら
 膝だけで歩いていく熱心な信者も多い。


 聖堂構造や装飾

 下は、ネットにあった聖堂の構造図。

  模式図


 西正面のオブラドイロ門ファサード、
 そこを抜けると<栄光の門>がある。
 門は3つに分かれており、
 左から旧約聖書の世界、天国、新約聖書の世界を表す。
 (天国、地獄、煉獄という説もある)
 3つの門の真ん中のトリュモー(扉口の中央基柱)には
 エッサイの樹や使徒姿のヤコブの彫刻がある。
 また、中央タンパン(扉口上部の半円形部)には
 荘厳のキリスト、受難の道具と
 マタイ、マルコ、ヨハネ、ルカの4人の福音記者、
 天国に迎えられた人々の彫刻が施してある。
 ブッシュール(扉口の左右のアーチ)部分には、
 「ヨハネの黙示録」に登場する、
 神の御座を囲む24人の老人たちが
 楽器を演奏しているところが刻まれている。
 楽器はガリシア地方特有のオルガニストゥルムや
 ヴァイオリンなどが描かれている。

 <天国の門>と呼ばれる
 北門アサバチェリーア門、
 さらに銀細工師の門と呼ばれる
 <南門プラテリーアス門>がある。

 地下に降りるとヤコブの墓がある。
 ヤコブの聖遺品が置かれ、
 エルサレムからヤコブの遺体を運んできたとされている
 テオドーロとアタナシウスがその傍らで眠っている。

 正面奥には主祭壇が現れる。
 主祭壇では下から、
 使徒姿のヤコブ、巡礼姿のヤコブ、戦うヤコブ、
 と三変化を見ることができる。
 ここにはボタフメイロがあり、毎日曜正午からの
 巡礼者のミサと儀式の際には香が焚かれる。

 この大聖堂は
 ロマネスク様式、ゴシック様式、バロック様式、
 ネオクラシック様式が混在する貴重な教会という。
 例えば、
 オブラドイロ門ファサードは、ゴシック様式。
 北門アサバチェリーア門は、
 上部がネオクラシック様式、土台がバロック様式。
 南門プラテリーアス門は、
 ロマネスク様式の門に、
 カテドラル内から持ってきた
 ロマネスク様式の彫像を埋め込んでいる。
 主祭壇は
 ガリシアバロックというチュリゲラ様式で造られている。


 祝祭

 7月25日はサンティアゴ(聖ヤコブ)の日で、
 この日が日曜日となる年を「聖年」、
 「聖ヤコブの年」と定めていて、
 旧市街を中心に祭りが盛大に行われる。
 またこの日はガリシアの日でもある。
  *スペイン内のガリシア人、独自の言語を持つ。
 巡礼が盛んだった中世、
 信者を強く惹きつけたのは聖遺物と呼ばれる
 イエスや聖人にまつわる遺品であった。
 聖遺物には奇跡を起こす力があると信じられた。



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