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第6報 2001・11・3
日本発 「テロ特措法」成立
自民党の野中広務氏は、ある講演で、
自衛隊のイージス艦派遣論議について、
「情報収集したデータを米軍に供与するというなら、
相手から見て、米軍の戦闘と一体化していると見なされる」と述べ、
小泉内閣の「自衛隊の後方支援活動」という
枠組みからの逸脱であると主張したという。
野中氏といえば、森前首相を擁護して
例の<加藤の乱>をつぶした辣腕振りで知られた人物だが、
こうした保守政治家にも、
小泉さんの<ショウ・ザ・フラッグ>と
野党第1党の民主党をも巻き込んでの
現在の日本の政治状況が、異常であると映っているらしい。
①「テロ特措法」
国際的な戦争区域への自衛隊の海外派遣を容認した。
(「戦闘ゾーン」ではないらしいが)
②「自衛隊法の改正」では、
防衛秘密の強化や
自衛隊による米軍基地の「警護活動」を新たに追加した。
③「海上保安庁法改正」
これは、かつて北朝鮮の情報収集鑑(漁船?)を拿捕できなかったので、
拿捕を可能にするためらしい。
これら三法が、10月29日、参議院本会議可決成立となった。
(ちなみに、共産党も改正賛成)
「テロ特措法」の成立を受けて、政府は基本計画策定にはいるようだ。
これで、インド洋海上の米空母等の艦船の展開を<補う形で>、
自衛隊の護衛艦4隻(6隻?)が派遣されるらしい。
これに、自衛隊の最新鋭のイージス艦が参加するという計画があって、
冒頭の野中氏の発言となった。
米軍のアフガニスタン作戦で、軍事戦略上、
自衛艦の派遣(護衛艦は補給艦の護衛を任務)が
どれほど米軍によって期待されるか分からないが、
(米政府としては日本へのリップサービスはする)
大騒ぎをしていた日本の政治、
国会の論戦、小泉・鳩山トップ会談の決裂、等々について、
果たしてどこまでわが日本国民の理解があるのか?。
また、新聞報道を見ると、
派遣される自衛隊の一般隊員のなかにも、
なにやら<なし崩し>的かつ拙速的な法律制定に、
不安や危惧を抱いている人々がいるという。
もし自分が派遣されることとなれば、
大いに不安も危惧もあることに違いない。
防衛庁制服組(や自衛隊幹部)は
海外に出られることを喜んでいるかもしれないのだが。
さっそく基本計画策定のため日米調整委員会が開かれ、
米側委員たちの満面の笑みがテレビに映し出されていた。
日本が国際貢献ならぬ<米国貢献に汗を流す>ことを
(後方支援で米軍の戦費・経費を補う)
積極的にやるのだから<満面の笑み>も分かる。
(軍事作戦上の期待はどうなのか分からないが)
そこで米側は、早速忘れずに、
この「作戦は長期になる」とクギをさしたようだ。
というのも、日本側はとりあえず
3ヶ月ぐらい補給計画を想定していたらしいので。
作戦の長期化となれば、
おそらく米側からは
次々と要求(戦費・経費の負担)が出てくるにちがいない。
パキスタンへの陸上自衛隊の派遣も出てくるのではないかな?。
日米大本営発表
第2次大戦中の日本の「大本営」発表は、
よく知られているように、
戦場の敗北を部隊の転進とし、
戦闘の戦果を誇大に(事実よりも期待によって)発表していた。
戦局不利な状況では、国民に知らせるわけには行かないだろう。
かくして、ズルズルと本土空襲、
沖縄の惨劇、ヒロシマ・ナガサキの原爆投下に至った。
無知な状態に国民をおいた
政府や軍の首脳・高級幹部の責任は重大。
しかし、米ソ冷戦により
日本の政府・軍の首脳・高級幹部の多数(?)は、
戦犯追放から返り咲いた。
上記のような、大げさなことは言わないまでも、
米政府・米軍による報道管制は結構あるようだ(第4報)。
3週間を超える空爆。
最初の数日間で、
タリバンの防空能力や指揮系統を破壊したという発表にかかわらず、
今だ続行されているが、期待した効果がないらしい。
誤爆と称する住民爆撃(死傷)が膨れあがる一方。
死傷者が増加すれば、
「空からハイテク兵器をまき散らす」米軍に対する
怒りが正比例して増幅する。
結局、ベトナム戦争や湾岸戦争と同様、
ここでも「ハイテク兵器の実験場」となるのでは?。
例えば、ベトナム戦争では人員殺傷用の「ボール爆弾」が投下された。
ここでは、クラスター爆弾(「集束爆弾」)
この爆弾は、なかに200個以上の小弾頭があって爆発、
周囲、何平方Kmかを破壊、人員殺傷する。
そのとき不発となった大量の小弾頭が地雷と同じ効果をもつ、という。
<タリバン兵を殺す>(と、米国防長官が言う)ための
ハイテク爆弾。
そのほか、地中深い陣地攻撃も可能な爆弾など。
ベトナム、湾岸、旧ユーゴ・コソボ空爆に続き、
いっそう精密で虐殺的なハイテク兵器の<開発と実験>が
際限なく行われるようだ。
つい、
「我が子(米兵)の犠牲は最小限、敵に最大限の犠牲を!」という
米国の軍事戦略について、
私などは、
「だからといってハイテク兵器を過信した攻撃、
罪無き住民の死傷を考慮もしくは計量化しない攻撃、
が許されるのか」と言いたくなる。
私が「小手調べ」と表現した特殊部隊の作戦は
「情報収集の目的を達成した」という発表にかかわらず、
予想外のタリバンの反撃に遭い、急いで撤収したということらしい。
2時間の「ヒット・アンド・ウエイ」作戦ならず、<逃げ帰った>ということか。
実際、米軍ヘリ2機が<故障して>
パキスタン領内に不時着したと、当時報じられた。
また、タリバン側からは、米軍ヘリの破片が公開された。
こうしたことは、結局、
私などがいくら詮索しても分からないことだが、
職場の同僚などは、
米政府・軍の発表(orテレビの軍事評論家の話)を、
結構、鵜呑みにしている傾向がある。
まあ、どんなかたちであれ、
「大本営発表」かどうか疑ってかかった方が
賢明であることは確か。
アフガニスタン情報・続報
空爆その後。
空爆の効果が予想外に上がっていないらしい。
かえって逆に、
タリバン側の結束・戦意高揚となっているらしい。
空爆開始からすでに4週間。
空爆で制空権を握り、
タリバンの主要軍事施設・指揮系統を破壊し、
次いで、地上に接近して攻撃する攻撃機や戦闘ヘリを投入して、
(C130輸送機を改造?、機関砲を搭載)
タリバン兵士がひそむ個々の陣地を攻撃し、同時に、
特殊部隊によりオマル師やビンラディンをあぶり出し、
WANTEDする作戦。どうも効果がない。
そこで、作戦変更。
米軍は、「北部同盟」を活用することにしたらしい。
「北部同盟」(反パキスタン勢力)は、
パキスタン・ムシャラフ大統領の意向を受けて、
利用しないはずだった。
つまり、米軍は作戦に必要ないと見なしていたのだろう。
しかし、今や、タリバンと北部同盟が対峙する前線の空爆、
特に、B52戦略爆撃機による<じゅうたん爆撃>に
踏み込んでいるようだ。
B52といえば、ベトナム戦争や湾岸戦争を想い起こす。
また、日本では、
第2次大戦の日本の都市空襲を想い起こす人もいるかもしれない。
*日本空襲は、<B29>戦略爆撃機による。
B52の方がはるかに凄い能力を持つ。
北部同盟軍を盾として、
彼らのカブール進撃・占領を暗に認めて、
タリバン側を追いつめるとともに、
同時進行的に、大規模な地上軍の投入により
一挙にタリバン政権の壊滅を狙う作戦か?。
とにかく現状では、
ラマダーン(断食月、11月中旬といわれる)前に、
*この月がいつからはじまるかは、イスラム聖職者が決めるという。
<一定の戦果を挙げる>ことはとてもできそうにない。
ラマダーンまで、このままズルズル戦果がなければ、
米政府・ペンタゴン・世界最強の米軍の威信が傷つく。
米政府首脳ならそう考えるだろう、
「オマルやビンラディンをこのままじゃ許せん」と。
以上のように私が思うのは、
既に報じられているように、
アフガニスタンに潜入した反タリバンの有力者は、
(タリバン分裂工作を企図した)
1名既に銃殺され、他の1名は不明で、
(グループの二十数名が捕まり、幹部級は処刑?とも)
彼ら2グループを救出しようとした米軍ヘリ作戦は
タリバンの攻撃でいずれも失敗。
ということは、
アフガニスタンの山岳地帯での米軍へりによる作戦は
予想外に困難なようだから。
「一定地域を制圧し、そこを拠点として、
タリバン政権を壊滅させる」ということならば、
どうしても大規模な地上軍の投入は避けられない。
我が子(米兵)の死傷がどのくらい出るか予想もつかないが。
「人道援助物資」(といわれる物)の投下
空爆を補う政治的配慮による、
米軍の難民救援物資の投下作戦は相変わらず評判が悪い。
物資の多くは北部同盟側に投下されているようだが、
私が報じたように、
援助物資を手に入れるのは、北部同盟・タリバン軍と<商人>。
必要な難民が投下物資をどうやって取りに行けるだろうか。
まあ、<幸いなことに>自分の真上に
投下されれば手に入れることができるかも。
最近報じられているのは、
アフガニスタン北東の町、
ホジャバルディンの商店の店先で、
一袋、3万アフガニ(通貨単位。約50円)で
売られているという。
また、
タリバン側では「ファトウ(宗教令・見解)」により
物資は焼却されてしまうようだ。
難民救援のNGO組織、
本当に人道的な人々の発言によると、
救援物資は必要な難民に
直に手渡しすることができてはじめて効果がある。
また、袋が<黄色>で
例のクラスター爆弾の不発弾も黄色、区別つかないという。
援助物資と思って拾ったら爆発ということも起こりうる。
そこで、
米政府は救援物資の袋を青色にすることにしたらしい。
何時青色の物資が投下されるのか、
わからないとのこと。
米政府がNGOの人々の言葉に
真摯に耳を傾ける日はいつのことだろうか?
いつか来るのか?、
<いいかげんにしてよ>とは、わが思い。
アフガニスタン、
タリバンと北部同盟の関係は、
以下のリンクへ。
<タリバンと北部同盟から戻る>
タリバンと北部同盟
第7報 2001・11・11
北部同盟軍のマザリシャリフ制圧
10日夕のニュースによれば、
北部同盟軍が
アフガニスタン北西部のマザリシャリフを制圧した。
かつてのウズベク系ドスタム将軍の根拠地、
その奪回に成功したことになる。
タリバン政権もこれを認め、<態勢建て直しのため>
マザリシャリフからの戦略的撤退を
言明しているようだ。
北部同盟軍を活用しようという米軍の作戦変更、
そしてB52戦略爆撃機などによる北部同盟軍支援の
「前線への大規模な空爆」が連日行われていた。
しかも、またまた<ハイテク兵器>の登場。
今月から「燃料気化爆弾」。
(戦術核兵器に次ぐ威力があるという
なにやら得体の知れない爆弾)
おそらく爆発すると
一瞬のうちに数平方M?を焼き尽くし、
酸素を奪って戦闘員を殺戮するもの?だ。
(湾岸戦争にも登場した?)
*ベトナム戦争では、
ナパーム爆弾が凄いといわれていた
また既に知られているように、
クラスター爆弾(集束爆弾)や
「バンカー・バスター」など。
(地下30Mぐらいまでの
洞窟や陣地壕も爆撃できるという)
その他の強力なハイテク兵器が登場しているかもしれない。
こうしたハイテク兵器を駆使した米軍の支援があれば、
弱体といわれる北部同盟軍といえども、
(ロシアから戦車等の補給を受けて戦力を強化)
タリバン軍に対する圧倒的な優位が確立したに違いない。
湾岸戦争の末期のイラク兵の<逃げまどう姿>と
タリバン兵の姿とがダブルイメージとなる。
アフガニスタンの地形は
北東部から中央部にかけてヒンドゥークシ山脈が連なり、
既にその山岳の一部は雪に覆われている。
北西部のマザリシャリフは
比較的孤立した地域にあり、ウズベク人の地域でもある。
北東部はタジク人の地域、
中央部はハザラ人の地域というように、
アフガニスタンの北部は
少数民族の居住地と重なるので、
もともと北部同盟側の勢力圏にあった。
おそらく東部にある首都カブールも、
圧倒的な米軍の火力の支援によって
北部同盟軍が制圧することもできるだろう。
しかし、多数派のパシュトーン人が多く住む
南部(タリバンの根拠地、カンダハル含む)の制圧は、
米軍の地上軍投入がなければ、
おそらく制圧できないのではないか。
北部同盟側からは
米軍の第2戦線(南部戦線)展開を要求する声があるらしい。
タリバンを壊滅するためには、
南部の制圧が欠かせないのではないか。
そのためには、
米地上軍の大規模投入が必要になるのではないか、
と私は推測するのだが。
アフガニスタン年表(朝日新聞掲載)
ここに備忘録代わりに年表を入れておこう。
注)「アフガニスタン」とは地名なのか国名なのかはっきりしない。
国家概念は近代以前と以後は相当違う。
国家主権・国境・国民(民族)を明確に規定した国家とは、
近代以降の国家(かつそれは西欧的概念による)であり、
今日でも本当は実態的に言えば虚構であって、
特に西欧列強によって植民地分割化された経験を持つアフリカ諸国では、
そのための犠牲を今でも払っている。
自然的・民族分布的諸条件を無視されて国境が線引きされ、
宗主国=植民地本国、その後の現地支配層の国家権力のあり方(独裁)や権力交代によって、
住民(国民化された)は犠牲を強いられている。
まぁ・・日本の例は希有の例で、「一民族一国家」ということらしい。
(といっても、私は決してアイヌ人や琉球人の存在を見過ごしているのわけではない)
それだけに、排外的な気運が高まると、危険か。
BC6世紀 アケメネス朝ペルシャの支配
BC327年ごろ アレクサンドロス大王の東征、支配。
AD2世紀 クシャーナ朝の支配下。バーミャンの石仏造営。
4世紀中ころ ササン朝ペルシャの支配下
629年 唐僧・玄奘来る
7世紀後半 イスラム勢力の進出
962年 ガズナ朝ーーアフガニスタン初のイスラム王朝
1221年 モンゴル軍の侵入
1270年代 マルコポーロ来る
1370年 ティムール帝国建設
1501年 サファビー朝、アフガン西部支配
1526年 ムガール帝国建設、アフガン東部支配
1747年 アフガニスタン建国
イギリス・アフガニスタン戦争
第1次(1838~42年)
第2次(1878~80年)ーーイギリスの保護領となる
第3次(1919年)ーー外交権回復、独立
1973・3 無血クーデター、ザヒル・シャー国王追放。
共和政移行、ダウド(国王の甥)、大統領就任。
1978・4 クーデター、ダウド大統領暗殺。
社会主義政権発足。タラキ革命評議会議長就任
1979・9 タラキ議長死亡、アミン議長就任。
<ソ連軍侵攻>
1979・12 侵攻に伴うクーデターでアミン議長処刑。親ソ派のカルマル政権発足
1986・5 カルマル議長失脚。ナジブラ政権発足
1989・2 ソ連軍撤退
<内戦>
1992・4 ナジブラ政権崩壊。反政府ゲリラ勢力の連立政権発足
1993・1 ラバニ大統領就任。内戦勃発
1994年夏 タリバーン登場
1996・9 タリバーン、首都カブール制圧
1998・8 米大使館連続爆破事件。米国がアフガニスタン報復爆撃
1999・1 国連、航空機の乗り入れ禁止などの制裁を科す
2001・3 タリバーンがバーミヤンの大仏を破壊
2001・9 北部同盟のマスード将軍暗殺。<米で同時多発テロ>
2001・10 米英軍による空爆はじまる
アフガニスタンの軍隊とは?
私は10月13日、米国で炭疽菌騒動が報じられはじめたころ、
この特集第一報を書いたのだが、
その後の、テレビ・新聞報道などを私なりに考え、
分析して現在までたどり着いた。
ところで、テレビ・新聞(要するに、マスメディア)の報道から
うかがうことができないのは、
実際に戦闘を行っている北部同盟軍とタリバン軍の実態である。
北部同盟軍とタリバン軍の前線の様子について、
欧米メディアの記者による
北部同盟軍側からリポートしたニュースがたまに配信されるので、
(我が家ではCATVを入れているので、
NHK以外の国際ニュースを見る機会がある)
それを見ると、実に<悠長に>に交戦している。
1日数時間を互いに砲撃や銃撃を行ったり
無線で相手を罵倒したり、日が暮れればそれでお終い。
どうもその配信されたニュースの中には、
記者の要請で砲撃する(謝礼をもらう)
ということもあるようだ。
というわけで、
「何とも呑気な戦争だ、何とかならない!」と
私などが思うのだから、
国防長官等の米軍首脳部は<相当切れているのではないか>と。
そもそも、わが日本国自衛隊も
その一員である欧米流の軍隊という観念に当てはまらないのが、
アフガニスタン流の軍隊ではないのだろうか?
例えば、私が思うには、
日本歴史で言えば、<鎌倉時代の御家人>あるいは、
それ以前の<武士・侍(サムライ)像>。
一族・郎党を引き連れたサムライたちは、
彼らにとって有利な条件を与える
<サムライ大将>に組みしたのであった。
彼らにとって軍役に奉仕する見返りの「恩賞」が一番であって、
恩賞なければ寝返りを辞さない。
現在のアフガニスタンでも同様なのでは?。
例えば北部同盟軍。
ウズベク系のドスタム将軍。
彼は、かつての社会主義政権時代の<将軍>であって、
この政権崩壊後に反ソ「ムジャヒディン連合政権」に参加、
タリバン政権が首都カブール制圧後には
マザリシャリフを根拠地として反タリバンの北部同盟結成に参加。
タリバンがマザリシャリフを制圧すると
トルコに亡命した。
そして今、マザリシャリフを奪回して、
かつての自己の勢いを復活させたようだ。
ーードスタム将軍の例を見ると、
時々の変節が疑われるようだが、それは欧米流の見方であって、
ウズベク人の<サムライ大将>としての彼は健在。
ウズベク人にとって彼は、
日本流に言えば源平の侍大将のごとき<武家の棟梁>であって、
恩賞を期待できる人物なのであるまいか。
要するに、アフガニスタンの軍隊とは、
自分の私兵として血縁・地縁的な同族集団を引き連れた
大中小さまざまな司令官(=サムライないし御家人)たちが、
戦闘の優劣によってどちらにもつくことを
前提として成り立っている。
そうした司令官たちが統率する兵士が、
(村単位か、地域単位か分からないが募兵された)
実際の戦闘を行っているのであろう。
そして、「ウズベク人」という同族意識を紐帯として、
大中小の司令官(=サムライ)は
ドスタム将軍(サムライ大将=武家の棟梁)と結びつく。
ただし、戦局が不利になれば、
あるいは味方同士の利害が衝突すれば、
大中小の司令官たちは敵側に寝返ることも辞さない。
彼らにとっては、
配下の部下(部隊)の伸張・維持こそ死活問題であるから。
以上のことは、タジク系ラバニ派
(ムジャヒディン連合政権のラバニ大統領。
マスード将軍を暗殺で失った)や
ハザラ人(ハリリ司令官)の軍隊にも言えるようだ。
そして、タリバン軍の多数にも言えるのでは?。
戦局不利な場合、各軍の司令官たちはいつでも<寝返る>、
これは現代の欧米流の倫理を適用できない、
日本風に<サムライたちの倫理>と理解すれば、
納得できるのでは、私は思う。
ただし、タリバンについては、
以上の<サムライたちの倫理>とはずれる向きがある。
オマル師を中心としたタリバンは、
イスラム原理主義を基調とした信仰集団でもあること。
タリバン派は、
寛容な部族的(サムライ的)イスラム教信仰とは違って、
宗教結社的過激さがあり、
来歴からしてパキスタン神学校学生が中心であった。
(決してアフガン人は多くない)
また、オサマ・ビンラディンの「アルカイダ」は、
<反ソ・ムジャヒディン>として
アラブ諸国各国から結集した
アフガン人以外のアラブ系の人々からなる。
かくして、
タリバン政権は、
アフガニスタン特有の
部族的(サムライ的)軍隊を基礎に持つつ、
原理主義的軍隊と「アルカイダ」の組織が
中枢にあるという、
かなり複雑な軍事組織になっているようだ。
(それだけ分解も早いか)
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