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       神々の第二世代  テュポン  別系統


 神々の誕生
 ヘシオドス『神統記』(Theogonia)による
 1)初めに、カオスが生じ、次にガイアタルタロスエロスが生じた。
  カオスから、娘ニュクス(夜)、息子エレボス(暗黒)が生じた。
  これらは世界の闇の両面、天上の夜と冥界の闇である。
  これらはカオスの中に並存していた。

  カオスは<空虚>。
  それは力にみなぎった世界の母胎としての空虚であり、
  未組織で叙述しがたい空虚であり、無とか欠如とかではない。

  ニュクスとエレボスはカオスに中で分離する。
  エレボスは降下して「夜」を 解放し、「夜」 は自らの身をえぐって広大な球となり、
  その二つの部分が分かれて孵化した卵のようになる。
   *または、ニュクスとエレボスが交わって、
    息子アイテル(光)と娘へメレ(昼)が生まれた。

  ここで、エロス(愛)が誕生する。
  卵殻の二つの部分は、
  一つが天空(ウラノス)、
  他方は平らな大地(ガイア、またはゲー)となる。
  ウラノスとガイアは<物質的な実在性>を持ち、
  エロスは<精神的な力>として、生まれつつある宇宙の統一性を保つ。
   *または、ガイアは、息子ウラノスを生み、
    またウレア(山々)、ポントス(海)を生んだ。
  ウラノスはガイアに向かってかがみ、
  この二者の合一が神々の世代の初めとなった。

  <異伝
  ガイアは直接カオスから生まれた。
  ついで、ガイアは、エロスひとりの力を借りて自らウラノスを生んだ。
  さらにまた、カオスがニュクスを生み、ニュクスが輝く光、純粋な光(アイテル)と
  万物を照らす「」を生んだ。
  *天空の上部をアイテル、下部をアエルという。


 2)ウラノスとガイアの結合
 ①ティタンとティタニスの6組の男女
  ティタン
   オケアノス、コイオス、クレイオス、ヒュペリオン、イアペトス、クロノス
  ティタニス
   テイア、レイア、テミス、ムネモシュネ、ポイベ、テテュス。
    *彼らは神的な存在で、同時に根源的な自然力を表す。

  オケアノス
  ・世界を取り巻く「水」の擬人化。
   人の住む大地は大きな島で、
   周囲を取り巻く流れの中心に置かれている、と考えられた。
  ・オケアノスは、西方夕暮れの娘たち(ヘスペリス)の住む紅く染められた国、
   のち、<ヘラクレスの柱>と呼ばれる所の彼方に見いだされる
    *エティオピア人は、エリュトライオス海と考え、
     それは今日の紅海またはペルシャ湾を指すか。
    *北方では、ヨーロッパの既知の国々の北方を曲がりくねって
     東から西に流れるエリダノス河と考えられた。
     その後、この河は、ダニューブ、ポー、ローヌあるいはラインの流れと同定した。
  ・根源的な水として、すべての河川の父であり、
   地下の水路を通じてすべての河川はオケアノスに育まれ、
   またはナイルの流れのように知られざる道を通じて連絡している。

  ・ティタンの長兄オケアノスは、ティタニスの最年少のテテュスと結婚。
    *テテュスは、海洋の女性的な力を擬人化。

  ヒュペリオン
  ・「天駆ける者」(ギ語hyper「・・の上」と「行きつつ」との合成語)
  ・天界の火。
   彼は、テイア(「神的なる女性」)と交わって、3人の子をつくる。
    男子、ヘリオス(太陽) 女子、セレネ(月)とエオス(曙)

  クレイオス
  ・ポントスの子孫と関係

  コイオス
  ・ティタニスのポイベ(輝く女)と交わってレトの父となる。

  イアペトス
  ・オケアノスとテテュスの娘のクリュメネを娶り、
   4人の子をもうける。
    アトラスメノイティオスプロメテウスエピメテウス
    彼らは、神々と人間との仲介者となる。

  テミス
  ・「法」、「永遠の均衡」。世界の秩序を保つ力。

  ムネモシュネ
  ・精神の力、記憶力。 

  テミスとムネモシュネは、
  荒々しい自然力(ティタン)に対する女性的なものとして、
  知性、精神の勝利をあらわす。
  また、女性が民族の<共同の秘密と知識の保持者>であった
  社会状態の反映が見いだせる。


 ②③もウラノスとガイアの他の子どもたち
 ②キュクロプス(「丸い目」の意味で、一つ目の巨人)
  アルゲス(雷光)、ステロペス(閃く者・雷雲)、ブロンテス(雷鳴)。
  「雷雨」と明らかな関連がある。

  ・彼らはまた、ゼウスの家来となり、
   「雷」を製作する仕事を受け持つことになった。
   <新来者>としてのゼウスに雷という武器を与えたのは彼らであり、
   ゼウスは最初から雷を持っていたのではないという。

  ・さらにキュクロプスたちは漸次、
   アポロンの弓、アテナの鎧などの製作者ということになって、
   新世代に属する「鍛冶の神」ヘパイストスの指導のもとに仕事することになった。
    *これは後代のアレクサンドリア時代の想像とも考えられる。
     この時代の人々は、
     キュクロプスの仕事場がシシリアの火山の地底にあると想定し、
     夜に、ストロムボリまたはエトナの山頂を赤々と照らすのは
     彼らの仕事場の火影であり、
     響き渡る音は「鞴」(ふいご)の音、鉄砧(てつちん)を打つ音なのであった。
    *上代の伝説では、火山現象を、
     ゼウスに反抗して大地の底に押し込められたギガス(巨人)によって起こる音とし、
     ギガントマキア(巨人戦争)という言葉で説明していた。

  なお、もう1種類のキュクロプスがいる。
  海の神ポセイドンとニンフの間に生まれたものたち。
  牧者で、多くは羊の世話をしながら洞窟で暮らしている。
  しかしその実態は、血に飢えた危険な人食い巨人である。
  例えば、シチリア島に住むポリュペモス
   *オデュッセウスの物語に登場した。
    「トロイア」のページに掲載した。

  ③ヘカトンケイル
  「百手の怪物」(Hekatoncheir)。
  コットスブリアレオスギュエスと呼ばれる。

  ウラノスは、ティタン族を初め、彼の子どもたちを厭わしいものとして、
  大地(ガイア)の奥深く閉じこめていた。
  ガイアは、子ども達を解放しようと、
  彼らとウラノスに対して陰謀を企てるが、クロノスだけが加担した。



 3)クロノスと神々の第2世代

  ガイアはクロノスに鋭利な鋼鉄の鎌を与えた。
  一夜ウラノスがガイアに近づいて彼女の体を覆ったとき、
  クロノスは鎌の一撃で父の生殖器を切断し、<去勢して>、背後に投げ捨てた。

  ウラノスの傷口から血が大地に滴り落ち、そこでガイアは再び懐妊した。
  かくして、
  新しい怪物の出現。エリニュス(復讐の女神)、ギガス(巨人)たち、
  トネリコのニンフ、メリアデスなども生まれた。
  ウラノスの生殖器は、海に落ちたが、そこからアフロディテが生まれた。

  クロノスの君臨
  クロノスは凶暴で、かつ彼の犯した罪の呪いを受けていた。
  彼は、怪物の兄弟たちを解放するどころか、彼らを母の懐から引き出すと、
  すぐに冥界の闇の中、タルタロスの底に沈めてしまう。

  ガイアはクロノスを恨み、
  クロノスに<彼がいつか自分の子どもの一人に王座を奪われること>を予言した。
  クロノスは、ティタニスの姉レイアを妻としたが、
  レイアが生んだ子どもをすべて生まれるとすぐに呑み込んでしまう。
  相次いで、3人の娘、ヘスティアデメテルヘラ
  2人の息子、ハデスポセイドンが生まれるとすぐに呑み込んだ 

  最後に、末子のゼウスが生まれようとするとき、レイアは秘かに逃亡する。
  彼女はクレタ島に隠れ家を求め、そこでゼウスを生む。
  そして一個の石を産衣にくるみ、
  これを嬰児のように見せかけてクロノスに与える。
    *または、母ガイアに預け、
     ガイアはゼウスの代わりに石をクロノスに呑ませる。


 4)ゼウスと神々の第3世代
 ①レアはゼウスをクレタ島の洞窟に隠し、
  ニンフたちとクレスたちの手に託した。
   *クレスとは騒がしい魔神。
    青銅の武器を使用しはじめた者とされる。
    槍や盾を打ちあわせつつ、踊って日を暮らしていたという。
    赤ん坊の泣き声が彼らが立てる騒がしい音に隠された。

  ゼウスは、アマルテイアという牝山羊の乳を飲み、
  イデの山のミツバチが彼のために特別に作った蜜をなめて育つ。
  やがてアマルテイアが死ぬと、ゼウスはその皮で胴当てをつくった。
  これが、アイギス(山羊の毛皮)、ゼウスやアテナの鎧または盾である。

  成長したゼウスは、父クロノスの王座を覆そうと計った。
  女神メティスに頼んで
  クロノスの腹から兄弟たちを吐き出させる薬をもらい、
  ある計略を用いて彼に飲ませて、
  クロノスが呑み込んでいた子どもたちを吐き出させた。

 ②「ティタンの戦い」(Titanomachia)
  ゼウスは兄弟たちとともに、クロノスに宣戦する。
  ゼウスたちはオリンポス山に立て籠もり、
  迎え撃つクロノスとティタンたちはオッサ山を拠点とする。

  戦いは10年続いた。
  ある日、ガイアはゼウスに告げて、
  <もし、彼がタルタロスに閉じこめられている怪物たちを
   味方に引き入れるならば、戦いに勝利するだろう>と言う。
  そこで、ゼウスは彼らを解放し、
  キュクロプスたちは、
  武器としてゼウスに雷霆を、ハデスに「隠れ兜」を、
  ポセイドンに「三叉の鉾」を作った。

  ゼウスたちはキュクロプスやヘカトンケイル、ギガスなどの助けを得て勝利し、
  ゼウスは父の王座を奪う。
  かくして、彼らは籤によってゼウスが<天空>を、ポセイドンが<海>を、
  ハデスが<瞑府>を支配することになった。
   *クロノスとティタンたちは捕らえられ、ウラノスの他の子どもたちに代わって、
   タルタロスに幽閉される。
  こうして、オリンポスの最初の神々が権力の座に着いた。

 ⑤ゼウスの王権確立まで
  ガイアは自分の子どもたち、ティタンに対するゼウスの処置を気に入らなかった。
  彼女は、子どもたちをタルタロスから解放したいと思い、
  自分とウラノスの血から生まれたギガスたちの助力を求めた。

  ギガス
  不死の身ではなかったが、死すべき者(人間)の協力がなければ、
  神々といえどもギガスを滅ぼすことが出来ないことになっていた。    
  ギガスは、巨大な無敵の力を有し、勇猛無比の者であった。
  彼らは、蓬々と生えた髪と髭をもち、脚は大蛇であった。
  彼らはトラキアのパレネ半島に生まれたという。
  大地(ガイア)から生まれ出るやいなや、彼らは火のついた樹木を振り回し、
  岩石を投げて天空を滅多打ちにした。

  そこにオリンポスの神々がやってきた。
  ゼウスは雷霆をもって、アテナはアイギスと槍を取り、
  ディオニュソスはその杖を振るい、
  神々は愛用の武器を携えてやってきた。

  さらにこの戦いでは、死すべき者が神々に助太刀することが必要だったので、
  神々はヘラクレスに援助を求めた。

  神とギガスの戦い(ギガントマキア)が始まった。
  ヘラクレスは主として弓矢をもって加勢し、
  神が巨人を打ち倒したときにそれを射殺した。
  巨人たちは散乱し、全世界の上に破片や投射物が散らばった。
   *エンケラドスは女神アテナによってシシリア島の下に押し込められ、
    ポセイドンが投げ飛ばしたニシュロン島は、
    ポリュボテスを押し潰した。
   *民間伝承は、こうした伝説中の挿話によって多くの地名の説明を与えている。
    例えば、モン・サン・ミシェルその他。

 ④テュポン(またはテュポエウス)との戦い

 ゼウスの王権確立には、さらなる試練があった。
 テュポンは、ヘラが男性の力を借りずに生んだ子とも、
  ガイアがタルタロスと交わって得たもう一人の子とも言う。

 テュポンはギガスよりも巨大で、その頭はしばしば星に突き当たった。
 手には指の代わりに龍の頭が百個付いていて、
 腰から足にかけて彼の体は毒蛇に取り巻かれていた。
 また、翼を持ち、その眼からは火焔が吹き出ていた。

 オリンポスの神々は、テュポンが天上に攻撃を加えてきたのを見て、
 エジプトまで逃れ、動物に姿を変えて砂漠に隠れた。
  アポロンは鳶、ヘルメスはこうのとり、
  アレスは魚、ディオニュソスは山羊、
  ヘパイストスは牛になった。
    *エジプトにおける動物の姿をとる神々の崇拝は
     ここから説明される。

 しかし、ゼウスアテナだけは踏み止まってテュポンに立ち向かう。
 ゼウスとテュポンは、
 エジプトとアラビアのペトラ地方の境界で組み打ちはじめ、
 テュポンが優勢となってゼウスの用いていたハルペ(鎌)を奪った。
  ティポンはゼウスの腕と脚の腱を切り、
  力を失ったゼウスの体を肩に乗せてキリキアに運び、
  洞窟に幽閉した。
  さらに、彼はゼウスの腱を熊の毛皮に隠してそれを龍に託した。

 しかし、ヘルメスとパンの神が、
 テュポンに知られないようにうまく腱を取り返し、
 ゼウスの体に元通りにはめ込んだ。
 そこでゼウスは力を回復し、戦いが再開された。

 戦いは長期にわたり、戦場は世界全土に拡がったが、
 結局ゼウスはテュポンを
 シシリアのエトナ山の下に押し込んで動けなくした。

 <参考>
 テュポンについては、他の神々と同様、絵画に描かれる。
 例えば、グスタフ・クリムトによる
 「ベートーヴェン・フリーズ」では、
 根源的な<悪の象徴>として描かれる。

 クリムト展へのリンク


 神々の誕生と背景
 1)世界を支配する一つの世代に、
  次の世代が暴力をもって代わる一連の「代替わり」があり、
  またクロノスはティタンたちの最年少、
  ゼウスもクロノスの末子というように、
  主権を握った者が<各世代の最後の者>であって、
  ここに末子相続が行われていた社会状態の痕跡が見られる。

  しかし、これはギリシア起源のものではないという。
  ウラノス神話の天体的な性格、
  クロノスが父に与えた傷による生殖などは、
  類似の神話の名残りが<キリキアからシリアにいたる地域>に見いだされ、
  したがって、アジア起源と思われる。

 2,ゼウスとその兄たちによって追われた神々は、
  アーリア族の征服者がギリシアに侵入する以前の
  宗教思想をある程度示しているものと考えられ、
  オリンポスの神々が君臨すると、
  余り有名でない二流の神々、脇役の地位に落とされた。
   例えば、ヘカトンケイル(百手巨人)は、
   エーゲ海地方の最古の土器類に描かれている<蛸>が
   神話に現れたものにすぎない。という。


 神々の誕生 別系統の伝説

 1)ガイアが男の手を借りずに生んだもう一人の息子がいる。
  これがポントス(「海の潮」)と呼ばれる。
  そして、ガイアがこのポントスと交わって多くの子孫が生じた。

  この中には二流の神々が見いだされる。
  それらは最初のギリシア人の到来に先立って存在した神々と
  同じものと認められる。
  また、それらはすべての自然の力と現象に即したもので、
  ほとんどすべてが怪奇な二重の形態を持った存在で、
  後代の神話において脇役として登場する。

 ①ポントスとガイアから最初に生まれた子は、
  「海の老人」ネレウス(ネストルの父と別人)。
  ネレウスはオケアノスの娘の一人ドリスと交わって、
  ネレイデス(ネレイデスの娘たち、波の娘たち)を生んだ。

  ネレウスは年老いた賢者で、あらゆる秘密を知り、
  あらゆる予言を心得ていた。
  しかし、彼はそれを他に漏らすことを嫌い、
  強制されるといつも変身の術を用いて逃れる。
  古典時代になると、彼はポセイドンの家来にすぎなくなり、
  大神の海豹の群れを守る役を務めている。

 ②ポントスの2番目の息子は、タウマス
  彼は、オケアノスの娘エレクトラを娶り、娘たちを生んだ。
  神々の使者で虹の擬人化イリス(Iris)、
  「突風」アエロ(Aero)と
  「疾風」オキュペテ(Okyupete)と呼ばれる
  ハルピュイア(Harpyia)。
   *もう一人「暗黒」ケライノが加えられることがある。
  ・ハルピュイアは<嵐の精>で、旋風のように海に襲いかかって
   その通路に当たる一切のものをさらっていく。
   本質的に掠奪者で、翼を持ち、鋭い爪を持った女性で、
   その住処はイオニア海のストロパデス群島にある。

 ③ポントスの3番目の子はポルキュスで、
  ギリシア西海岸のケパレニア島あたりに住んでいる。
  海の老女エニュオペプレドデイノはポルキュスの後裔であり、
  かつて太陽の現れたことのない西の果てにある国に住んでいる。

  3人姉妹のゴルゴンステノエウリュアレメドゥサ)は、
  海の老女たちの姉妹であった。
  このうちメドゥサだけが不死の身を与えられていなかった。
  ・ゴルゴンたちは恐ろしい形相を備えていた。
   頭の周囲には蛇が巻き付き、猪のような大きな牙を持ち、
   手は青銅で出来ていて、黄金の翼で空を飛びことが出来た。
   眼は閃光を放ち、その鋭い眼差しに出会った者は石に変えられてしまう。
  ・恐怖の的であったゴルゴンたちは、世界の果て、夜の闇の中に追いやられ、
   どんな大胆な者もそこに近づかなかった。

  ポセイドンのみがメドゥサと交わった。
  生まれた子がペガソス(有翼の馬)とクリュサオル(黄金の剣)の2頭の天馬であった。
  ついでクリュサオルを父として、
  のちヘラクレスの殺される3体の巨人ゲリュオン
  毒蛇エキドナが生まれた。
  ・毒蛇エキドナは、
   もっとも恐ろしい怪物、
   一時はゼウスに取って代わろうとしたテュポンと交わって、
   子供たちを生んだ。
   怪犬オルトロスゲリュオンの番犬である)、
   冥界の犬ケルベロスレルネの水蛇、
   およびベレロポンテス(あるいはベレロポン)と戦ったキマイラ
    *ベレロポンテスは神話中の英雄。
     アルゴス王プロイトスの后に恋されたが、
     これを拒んだため逆に后に言い寄ったと訴えられた。
     彼は、王の義父のところへ、
     彼自身を殺せという手紙を持参する使者して送られた。
     ここで彼は、
     獅子の頭、山羊の胴、龍の尾を持つ怪物キマイラ退治を命じられたが、
     ペガサスに乗ってキマイラを退治した。

  オルトロスとエキドナからは、
  テバイのスピンクスおよびネメアの獅子が生まれた。

 ④ポントスの末子は女でエウリュビエと呼ばれる。
  彼女はティタンの一人クレイオスの妻となり、その子孫は天体となった。
   長男アストライオスは「曙」を娶り、
   子どもには「風」たち、ヘオスポロス(暁の明星)およびあらゆる天体があった。
   次男は巨人パラスで、ステュクス(瞑府の河)の夫となり、
   生まれた子どもは「嫉妬」「勝利」「権力」「暴力」など
   すべて力を象徴する存在であった。
   三男は、コイオスとポイベの娘のアステリアと交わって、
   冥界の女神で三相を備えたヘカテの父となる。



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