トップ
グスタフ・クリムト
・・・都美術館「クリムト展」
1)自死したリア・ムンク
2)「ベートーヴェン・フリーズ」
3)クリムト三部作
私は、奥行きや立体感を無視して平面を強調したクリムトの描き方、
<黄金様式>に以前から興味を抱いていた。
都美術館「クリムト展」を観て、なお惹きつけられた。
しかも、その技法は日本美術、
ことに<浮世絵>の影響があるという(ジャポニスム)。
1)自死したリア・ムンク
唇をかすかに開き息づかいしてるかのようだ。眠るかのような美しい顔。
クリムトは、生前の彼女の魂を蘇らせるような筆致で描いた。
彼女の母親は娘の遺影にたえきれず友人にこの絵を譲ったという。
上、自死したリア・ムンク。
クリムトの有名な代表作は多々あるけれど、私にはこの絵がとても印象深かった。
なお、リア・ムンクの肖像画から、
「叫び}のムンクを連想されるようで(姻戚関係なし)、
私も、ムンク展で「病める子」という作品を観て、「リア・ムンク」を想い出した。
こちらは、ムンクの姉、ソフィエで15歳で亡くなった。
「病める子」 :ムンク作
2)「ベートーヴェン・フリーズ」
クリムトら分離派は、
ベートーヴェンをそれまでの音楽界を革新した人物として顕彰し、
美術界での自分たちを彼になぞらえていたようだ。
音楽家マーラーも彼らに賛同している。
第14回分離派展の壁画として制作された。
実物は分離派会館の地下に展示されている。
レプリカだが、原寸大とのこと。
私はこの展示場を見て、改めてクリムトの大きさに感銘を受けた。
分離派会館内 天井高く、なかなか見にくいらしい。
:左手の上に「甲冑をまとう強者(黄金の騎士)」。
:中央上に「敵対する力」、
:右手上に竪琴を持つ女性(「詩」)。
さらに、「諸芸術」と「楽園の天使たちの合唱」、抱擁する恋人たち。
:三面の上部には天女たちが舞う。
天女の舞 :例、右手上の「詩」とともに。
クリムト展「ベートーヴェン・フリーズ」から
左手上 :この騎士の横顔はマーラーのそれのようだ(映画「クリムト」から)。
右手上 :諸芸術と楽園の天使の合唱、抱擁する恋人たち(幸福の成就)。
下図が中央壁画の「敵対する力」になる。
左端、ゴルゴン三姉妹(テュポンの娘)、
次いで、キングコングみたいなテュポン。
テュポンの隣は肉欲・淫蕩・不節制の擬人化。
右側はうつむき身をすくめる「激しい苦悩」と、
その上を飛び越える人間の様々な憧れと願望のシンボル。
テュポンは、ギリシャ神話の怪物あるいは神で、
オリンポスの神々も畏れをなして逃げた? 台風の語源らしい。️
「敵対する力」の肉欲・淫蕩・不節制は、
クリムトの風貌からすると、8人の子(彼の死後訴えがあり認められた)から、
彼の内部にもあったか?
彼の内部のせめぎ合いを感じるのは、私だけか?
モデルにした女性たちに次々ちょっかい出してるとのこと
肉欲・淫蕩・不節制
ベートーベンフリーズのクリムトの作品は天井近くの上段の壁に描かれている。
下段の壁について分離派の画家仲間の作品があるんだろうと推測していた。
映画「クリムト」によって裏付けられた?
3)クリムト三部作
ウィーン大学の新講堂の天井を飾るはずだったクリムトの三部作。
「哲学」「医学」「法学」と題しているが、
どうも難解すぎて、どう解釈すれば良いのか。
もちろん、絵画は、自分が鑑賞して<いい!>と感得したらそれで良いのだとも言える。
例えば、「医学」について(「哲学」「法学」も同様)普通には医療と関連づけて、
大学の新講堂を飾るに相応しい作品の制作となるはず。
ところが、クリムトは医療の根底に存在する<生と死>を直截にとりあげて、
<相応しからぬ作品>を制作した。
当時、クリムトに対する多くの批判があり、結局天井に飾られなかったという。
上、「医学」(原画を彩色したもの)では、
絵の右側に死と病に冒された群像を描き、
左側には上体を反らせて宙に浮かぶ女性の裸像。
女性の左手は下方に伸びて生者?の手と結び、
右手は斜め横に伸びて病者?に差し出される。
彼女はまさに生と死の狭間にあり、
双方に引き寄せられる(または、引き寄せる)かのようだ。
医療を表すのは、神話の健康の女神ヒュギエイア、右下前面に描かれているだけ。
クリムトの代表的な絵は平板な描き方(わざと奥行きや遠近法を無視してるよう)をするが、
この「医学」は奥行きを感じさせる。
「哲学」や「法学」はクリムトがどんな意図を持って制作したのか、
まだ私には分からない。
この三部作の完成した絵は、残念ながら、第2次大戦中ドイツ軍に焼かれたという。
私はこの三部作がクリムトの最高傑作だったかもしれないと思う。
哲学
法学
複製された「天井画」がある。
天井画でクリムトの絵は、右上方「法学」、左下「医学」、右下「哲学」にある。
中央はマッチュの絵。左上方にマッチュの「神学」、<相応しい作品>。
描き方は違うが、彼はクリムトの友人でもあった。
神学 :マッチュ作
クリムトの作品についてあちこちに掲載している。
ウィーンモダン展へのリンク
クリムトのジャポニスムへのリンク
映画クリムトへのリンク
:「クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代」
トップへ戻る