江戸のエナジー展
参考図録「江戸のエナジー」
*エナジーとはエネルギー。私は<活力>と理解する。
エナジー展2 :肉筆浮世絵へ
エナジー展3 :版画浮世絵へ
いろいろな浮世絵展を観て、多少分かったつもりでいたが、
観たのは浮世絵版画が多く、
肉筆画や屏風絵は余り観ていなかった。
この美術展では、主に肉筆画、
特に何点かの屏風絵が展示されていた。
最近、ニュースで平山郁夫などの<版画>について、
<贋作>が見つかったと報じられていた。
現代の版画の制作についてはよく知らないが、
江戸の浮世絵版画なら摺りたいだけすれば良い。
<真贋>が問題になるのは、真作と同等の高値で買わされることか。
私なんかは高価な作品を購入できないので、
真贋よりも、<模作>であれ、安ければ満足するに違いない。
横道にそれたが、
実は、図録の解説によれば、
「肉筆浮世絵」にも、「仕込絵」があったという。
肉筆画は絵師が一枚だけ描いたものをいうが、
それに似た絵も制作されていた。
それが仕込絵で(私流にいえば<模作>)で、
本物より安く、版画より高い値段で売られていたという。
<江戸っこ>にも私のように、模作で満足という人もいたか。
「哥麿の絵じゃないけど、哥麿らしくていいね」と。
本筋に戻そう。
肉筆画も見応えあるが、
私は特に、実物の屏風絵に圧倒された。
下図は「四条河原遊楽図屏風」
二曲一双。
屏風の表し方を初めて知った。
右の屏風は、一隻で、中折れがあり、それぞれを<曲>といい、
それで、二曲一隻となる。
また、二隻で<一双>というので、
左右の屏風、合わせて<二曲一双>になる。
この屏風絵は一隻の高さ172・8cm、幅164・4cm。
台上に乗ってるので、高さ2mを超え、まさに見上げる高さだった。
*ズームを入れたが、残念ながら不鮮明で見にくい。
実際に観ると、鮮明でさまざまな群像があちこち描かれている。
じっくり観ようすると、この屏風絵だけで30分ぐらいかかりそう。
静嘉堂文庫美術館所蔵作品。
近世初期、一大歓楽街となった京都・四条河原の賑わいを描く。
金地の画面の中心に上から下へ流れるのが鴨川、
その中央に仮橋をかけ、四条通を左右に通す構図。
右隻と左隻の上方には、それぞれ<遊女歌舞伎>の芝居小屋。
芝居小屋や見世物小屋が立ち並び、人々の活気(エナジー)に溢れている。
また画中には、鴨川の上流では魚採り、下流で水浴びをしたり、
いろいろな姿が描かれている。
なお、遊女歌舞伎とは、
出雲阿国の歌舞伎踊りの流行から、
遊女屋が抱えの遊女たちを、
三味線の扇情的な音曲に合わせて踊らせたこと。
のちに禁止、
今度は女が若衆姿で踊る<若衆歌舞伎>、これまた禁止。
現在の歌舞伎は男が女形を演じて生き延びた?
次は、「歌舞伎図屏風」(部分)
二曲一隻で、下図は右曲の部分図。
女三人による踊り。
三味線がないので、遊女歌舞伎以前の「ややこ踊」(ややこは幼女)のようにも
見えるが、踊り手は鮮やかな衣装をまとったれっきとした女。
*いつ頃のものか不詳らしい。
他に「上野隅田川図屏風」もあったが、
<六曲一双>という大きさで、ここに載せるには大きすぎる。
「四条河原遊楽図屏風」と同様、賑わいを描く。
上野寛永寺の花見の宴、隅田川の納涼・遊興の様子など描き、
こちらも、じっくり観るには30分ぐらいはかかる。